私達は酸素を消費して生きていますが、吸い込んだ酸素の内2~3%は活性酸素と言われるものに変化します。 この活性酸素が体内で過剰な状態になると、たんぱく質や脂肪などの細胞を攻撃し始めます。 このような作用で細胞を劣化させることを「酸化」と言います。一般的には「身体のサビ」と言われるものです。 これに対し、人間の身体にはこの活性酸素を抑えてくれる「抗酸化力」という力があり、この活性酸素と抗酸化力のバランスが崩れた状態を酸化ストレスといいます。 では、酸化ストレスの原因である活性酸素を身体から無くせばいいのでしょうか? よく「活性酸素を排除しよう」と聞きますが、それは間違いです。 活性酸素の中には免疫機能や感染防御の重要な役割を担ったり、排卵、受精、細胞分裂などの生理的な役割を担っていたりするものもいます。 最も大事なのは活性酸素と抗酸化力のバランスを均等に保つことです。 最近では、加齢に伴い、各臓器や各組織に対して酸化ストレスが増えることが知られています。 アルツハイマー病やパーキンソン病などの神経疾患、肺気腫などの慢性呼吸器疾患も酸化ストレスが関係していることは報告されていますが、椎間板変性と酸化ストレスの関係についてはあまり知られていませんでした。 最近の研究により、人体において酸化ストレスが大きくなることで椎間板の変性を引き起こしたり、進行させたりするということが分かってきています。そして椎間板変性が進むと酸化ストレスがさらに増加する研究結果もあります。 反対に、酸化ストレスが低ければ椎間板変性は発症しにくいまたは進行しにくいことも分かっています。 椎間板変性の進行を抑制する事や他の部位の椎間板変性を引き起こさないためにも、適度な休息と運動、抗酸化食品の摂取を意識して、抗酸化力を高める生活習慣を目指していきましょう。 ILC国際腰痛クリニック東京 管理栄養士 出口 武志
治療症例紹介・コラム