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研究・論文について

About Research-Archive 研究・論文について

セルゲル法・フローレンス法・Qフローレンス法は、欧州を中心に世界の様々な国で導入されている先進的な治療法です。
世界中の大学や病院でセルゲル法・フローレンス法の治療に関する結果が発表されています。
ここはその一部をご紹介いたします。

セルゲル法の研究・論文について

  • 放射線不透過性ゲル化エタノールを用いた腰椎椎間板ヘルニアの経皮的治療:予備的研究

    要約

    研究デザイン:予備的研究

    目的:腰椎椎間板ヘルニアの経皮的治療としてゲル化エタノールの使用の安全性と有効性を実証する。
    背景:キモパパイン治療中止の後は、椎間板ヘルニアを治療するための新しい薬剤の必要性が明らかになった。純粋なエタノールで良好な結果が得られたが、これは取り扱いが困難であった。私たちは、同様の薬剤にエチルセルロースを混ぜて粘度を高め、放射線不透過性物質を加えたものを使用することにした。

    方法:この予備的研究では、腰椎椎間板ヘルニアのある276人を対象に、放射線不透過性ゲル化エタノールと関節内ステロイドで経皮的な治療を行った。A群は放射線不透過性ゲル化エタノールのみでの治療だった。B群およびC群は狭窄症、椎間孔内ヘルニア、不眠症を伴う過敏性椎間板ヘルニアのある難治例で、治療は放射線不透過性ゲル化エタノールに加えて、B群では自動経皮的椎間板摘出術を、C群では高周波核形成術を行った。

    結果:A群の患者221例中202例(91.4%)で非常に良好または良好な結果が得られた。B群の患者44例中37例(84%)で非常に良好または良好な結果が得られ、C群の患者11例中9例(82%)で同様の結果が得られた。アレルギー性の合併症はみられなかった。短期経過のMRI検査では、椎間板にほとんど変化がなかったが、臨床症状との不一致が確認できた。長期経過のMRI検査では、ヘルニアの体積が劇的に減少したことが確認できた。

    結論:この予備的研究は、キモパパイン治療に継ぐ可能性のある新しい薬剤の有効性と安全性を示している。

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  • ゲル化エタノールを用いた頚椎椎間板ヘルニアの経皮的治療

    要約

    この研究では、椎間板性疼痛や神経根痛を伴う頚椎椎間板ヘルニアのある少人数の患者を対象に、頚椎椎間板ヘルニアの治療として放射線不透過性ゲル化エタノールを用いた化学的髄核融解の有効性を検討した。結果は89.5%の患者で満足のいくものであり、術中および術後に合併症がみられなかった。放射線不透過性ゲル化エタノールの使用は、有望であり、頚椎椎間板ヘルニアの治療として実行可能で安全な治療法の一つとなり得る。

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  • 放射線不透過性ゲル化エタノールであるdiscogel®の椎間板内および筋肉内注射:病理学的評価

    要約

    この研究では、豚を対象に、椎間板ヘルニアの低侵襲治療として最近導入された新薬剤Discogel®(放射線不透過性ゲル化エタノール)の椎間板内、椎間孔内、硬膜外および筋肉内注射の影響と変更を評価した。Discogel®は、セルロース誘導体であるエチルアルコールに放射線不透過性元素であるタングステンを加えた無菌の粘性溶液である。豚に鎮静剤を投与し、透視下でL1/L2の椎間板内に針を刺し、椎間板内、椎間孔内、硬膜外、筋肉内に1mlのディスコゲルを注入した。対照としてはL4/L5の椎間板が検討され、そこには何も注入していなかった。ディスコゲル注入48時間後に豚を殺し、D10からS1までの脊椎が摘出され、10%緩衝ホルマリンで保存された。解剖学的標本は電動のこぎりで切断され、定法により分析された後、ホルマリンで固定された。骨を含む標本はDEKAL溶液で処理した。標本はヘマトキシリン・エオジン法で染色した後、組織化学的方法(Masson・Van GiesonのPAS染色と三色染色)と免疫化学的方法で分析した。形態構造学的検査では、筋組織と結合組織の傍脊椎組織にて、ヘマトキシリン・エオジン法(タングステン)で黒色に着色された粒状物質が認められた。リンパ単球や静脈うっ血のような炎症物質も見られた。ディスコゲルが注入された部分には変化が見られず、髄核、椎間板、コンドロミキソイド、根神経節は正常であった。椎間板内、椎間孔内、硬膜外および筋肉内にDiscogel®を注入した後は、髄核と繊維輪に形態構造上の変化が認められなかった。免疫組織化学的分析による治療後の豚の更なる研究で、ディスコゲルによって誘発された形態学的変化とその作用が確認できるであろう。

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  • 腰椎椎間板ヘルニアの低侵襲治療:酸素オゾンによる化学的髄核融解療法で効果がない患者に対するDiscoGel®による化学的髄核融解療法

    要約

    椎間板ヘルニアの治療には、保存的方法(薬物療法や理学療法)から低侵襲治療(経皮的治療)や外科的手術まで、多くの治療法があります。酸素オゾンによる化学的髄核融解療法(酸素オゾン治療)は、最も費用対効果が高く、合併症が少ない低侵襲治療の一つである。近年、純粋のエタノールの化学的性質を利用することで治療可能となったもう一つのものは、無水アルコールよりも粘性の高い放射線不透過性ゲル化エタノールであるDiscoGel®である。本研究は、酸素オゾン療法で効果のない腰椎椎間板ヘルニアの患者を対象に行われるDiscoGel®による化学的髄核融解療法の治療効果を評価することを目的としている。
    20歳から79歳の32名の患者に対しては、2008年12月から2010年1月にかけて、DiscoGel®による化学的髄核融解療法が行われた。32例中24例は治療が成功した(痛みが改善した)。
    DiscoGel®は安全で、扱いやすく、治療部位以外への薬剤の漏れに起因する合併症はなかった。
    酸素オゾン治療で効果のない患者に対して行われたDiscoGel®による化学的髄核融解療法の治療成功率は満足のいくものであった。腰椎椎間板ヘルニアの治療の中で、DiscoGel®による化学的髄核融解療法は、保存治療と外科的手術の中間的な治療法として位置づけられる。

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  • 椎間板ヘルニアに起因する坐骨神経痛の経皮的治療:79症例の気体椎間板造影とDiscogel®の使用に関する探索的研究

    要約

    目的:坐骨神経痛は一般的な疾患である。総人口の13%~40%は少なくとも1度、脊椎椎間板ヘルニアと神経根刺激症状に起因する坐骨神経痛を経験するといわれている。一部の専門施設では、椎間板摘出術に伴う有害事象を回避することを目指して、経皮的椎間板治療を保存的治療と外科的手術の間に位置している。Discogel®は、椎間板ヘルニアに起因する坐骨神経痛の治療として経皮的にインプラントされる医療機器である。我々は、(a)事前に気体椎間板造影を使用することで、髄核融解とDiscogel®の投与に伴い発症すると報告されている神経根刺激症状のリスクを軽減できるかどうかを検討し、(b)この療法の有効性と安全性を確認する目的で、公開的な前向き観察研究を行った。

    方法:Discogel®で治療された患者79人を調査した。麻酔医の看護師が治療中の患者の疼痛レベルを評価した。Discogel®治療時及び治療8週間後には療法士が患者の状態を評価した。3回目の評価は、最低治療4ヵ月後に(独立評価者による)電話インタビューに基づいて行われた。

    結果:Discogel®治療後の疼痛レベル(1.7±2.0)は、治療前の疼痛レベル(5.5±2.3)に比べて著しく低かった。合併症はなかった。Discogel®治療2ヵ月後に、初期の疼痛レベルは平均74±34%程下がった。結果は長期にわたって安定していた(平均追跡期間:8ヵ月)。追跡調査期間終了時には、60.7%の患者は痛みが改善され、76%の患者は良好または非常に良好な結果と考え、74%は仕事に復帰し、76%はこの治療を友人に勧めたいと答えていた。

    結論:この療法による良好な結果は、対照試験で確認されるべきである。

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  • 慢性椎間板性腰痛症に対するパルス高周波療法とゲル化エタノールの椎間板内併用療法

    要約

    椎間板性疼痛は、約45%の慢性腰痛患者が罹患しており、椎間板の化学的・機械的変化によって引き起こされる。治療としては多くの低侵襲技術が用いられてきたが、その結果は様々であった。我々は、慢性椎間板性腰痛の治療法として、椎間板内パルス高周波療法とゲル化エタノール注入を組み合わせた治療法を報告する。

    椎間板性腰痛を患っている患者で、少なくとも6ヵ月間保存的治療や理学療法を受けて効果がなく、誘発椎間板造影にて症状が一致したという11名が選ばれた。治療前と治療1か月後、3か月後、6か月後に疼痛(整数評価尺度、0~10)と満足度(視覚的評価スケール、0~10)を評価した。
    MRI検査で変性が認められた22の椎間板に対して治療を行った。

    治療前のNRSは10段階で7~8点であった。11例中9例(81.8%)は100%の疼痛軽減(±22.8、95%信頼区間)を示した。全ての患者は治療直後の棘突起間の深部の圧痛がなく、治療前の同テストに対する感受性とは対照的であった。

    椎間板にパルス高周波療法をして、同じ針を通してゲル化エタノールインプラントを注入する治療は、慢性椎間板性疼痛を治療する有望な低侵襲施術だと考えられる。他の低侵襲的方法と比較して、この施術の成功率や長期的転帰を調査するためには、更なる研究が必要である。

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  • 腰痛および神経根症患者に対する放射線不透過性ゲル化エタノール(Discogel)の腰椎経皮的椎間板内注入術

    要約

    椎間板に化学物質を経皮的に投与することにより、髄核の一部を除去し、結果として椎間板内圧を低下させることができる。我々は、軽度・中度の椎間板ヘルニアで腰痛や神経根症の症状のある72名の患者(グループ1)に対して放射線不透過性ゲル化エタノール(Discogel)の経皮的椎間板内注入を行い、72名の患者(グループ2または対照群)にステロイドと麻酔薬の椎間孔内および椎間板内注入を行い、ディスコゲルの有効性と安全性を証明した。「ディスコゲル」注入は、二方向血管造影を用い、局所麻酔下で、患者が症状のある側を側臥位にて行われた。ディスコゲルの注入量は0.8mlから1.6mlであった。合計83個の椎間板を治療した。62名の患者は1か所の椎間板で、9名は同時に2か所で、1名は2回にわたって3か所の治療が行われた。
    グループ1では、65名(90.3%)から回答をいただいた。58例(80.4%)は非常に良いまたは良い結果で、7例(9.8%)は満足のいく結果で、7例(9.8%)は不良な結果が得られた。回答の58例(89.3%)では即効性があり、7例(10.7%)は7~10日後に疼痛改善があった。これらの値は対照群より著しく高かった。また、QOLも対照群に比べ、著しく上がり、この効果は長期にわたって維持された。合併症に関しては、3例(4.15%)に治療直後に神経因性疼痛を伴う一過性神経痛と、1例(1.30%)に穿刺針に沿った局所麻酔薬の拡散による一過性感覚運動障害がみられた。
    結論として、放射線不透過性ゲル化エタノールの椎間板内注入は、低侵襲で低コストで安全かつ効果的な施術であり、外科的手術を行う前に適切な患者に行えるものとなり得るだろう。

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  • 腰椎および頚椎椎間板ヘルニアに対する放射線不透過性ゲル化エタノールの経皮的注入:80名の患者における経験と臨床結果

    要約

    背景と目的:化学的髄核融解はX線またはCT透視下で材料を椎間板に注入する低侵襲の経皮的施術である。最近、放射線不透過性ゲル化エタノールをベースとした物質が導入された。本研究の目的は、頸椎および腰椎椎間板ヘルニアの経皮的治療における放射線不透過性ゲル化エタノールの適応、施術、安全性および有効性を評することである。

    材料と方法:2010年9月から2013年8月の間、腰椎椎間板ヘルニア(107例、うちL2-L3:1例、L3-L4:15例、L4-L5:53例、L5-S1:38例)と頸椎椎間板ヘルニア(9例、うちC4-C5:2例、C5-C6:2例、C6-C7:3例、C7-D1:2例)のある80名の患者(女性32人、男性48人、年齢範囲:18~75歳)が、X線透視下で放射線不透過性のゲル化エタノールを経皮的に椎間板内に注入する治療を受けた。36名の患者が同時に2か所の治療を受けた。患者の症状は保存療法で改善がなく、4~6週間の理学療法や薬物療法を行っても痛みがほとんど軽減されなかった。患者全員をVisual Analog ScaleとOswestry Disability Indexで評価した。

    結果:腰椎椎間板ヘルニア患者の73例中62例(85%)、頸椎椎間板ヘルニア患者の7例中6例(83%)は、Visual Analog Scaleで4点以上、Oswestry Disability Index で40%以上の症状の改善がみられた。 放射線不透過性ゲル化エタノールの周辺組織への漏れは19例にみられたが、 臨床的副作用はなかった。

    結論:我々の経験では、放射線不透過性ゲル化エタノールの経皮的椎間板内注入は、安全であり、日常生活に支障を来すような症状の回復期間の短縮に有効である。

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  • 腰椎椎間板症患者に対するDiscoGel®。受診連続した25名の患者の遡及結果

    要約

    はじめに:腰椎椎間板症は、30~40歳の患者によくみられる疾患である。この疾患は発生頻度が高く、社会的・職業的な影響も大きいため、大きな公衆衛生問題となっている。DiscoGel®は、椎間板切除を回避するための髄核融解に使用されるクラス3の医療機器である。本研究の目的は、保存的治療で改善のなかった腰椎椎間板症の患者に対するこの治療の有効性を評価することである。

    材料と方法:本研究は、フランスのニオール病院において2010年から2011年にかけてDiscoGel®による治療を受けた25名の患者を対象に単施設で実施された後ろ向き研究である。腰痛および神経根痛の重症度は、verbal numeric scale (VNS)および患者の満足度によって評価された。患者は成功例と失敗例に分類された。

    結果:治療成功例では、腰痛が73%改善され、神経根痛が80%改善された。失敗例は全体の64%であった。両群の比較では、術前の隣接椎体終板のMRIのmodic 2信号が治療失敗例に有意に関連していることが判明された(Chi(2)=8572, P < 0.01)。

    考察:DiscoGel®使用後、腰痛に対するVNSは42%、神経根痛に対するVNSは50%減少した。我々の研究では、DiscoGel®治療は、16名の腰椎椎間板症患者で不成功であった。この結果は他の文献と一致しない。統計力の欠如はこの結果を一部説明できるだろう。この研究の最も重要な結果は分析にあり、術前の画像データに関連してDiscoGel®治療の適応が将来的に修正される可能性を示唆している。

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  • 保存療法で改善しない坐骨神経痛に対するエタノールゲルを用いた腰部経皮的化学的髄核融解法のコホート研究

    要約

    目的:保存療法で改善のなかった椎間板ヘルニアによる神経根痛を緩和するためのエタノールゲルを用いた経皮的化学的髄核融解法(PCEG)の有効性を検討する。
    材料と方法:保存療法で改善がなく、6週間以上Visual Analog Scaleでの10中4以上の痛みのある坐骨神経痛で、3か月以内のMRIまたはCTで確認できた椎間板ヘルニアのある患者42名に対して、X線透視下でPCEGが行われた。VASによる疼痛評価は、治療時、1ヵ月後、3ヵ月後にされた。患者関連因子(年齢、性別、疼痛持続期間)と椎間板ヘルニア関連因子(部位、移動様式、椎間板ヘルニアによる脊柱管狭窄)がPCEGの治療結果に及ぼす影響を調査した。

    結果:平均疼痛持続期間は6.7ヵ月であった。痛みの強さは、治療時と比較して1ヵ月後には44%、3ヵ月後には62.6%減少した(P = 0.007)。軽度の改善は1ヵ月後と3ヵ月後にて、リウマチ専門医による評価でそれぞれ42例中30例(71.4%)と42例中36例(85.7%)、自己評価で42例中31例(73.8%)と42例中33例(78.6%)で認められた。PCEGで改善のなかった患者は年上であった(49.8歳対37.3歳、P = 0.03)。調査した他の因子は、疼痛緩和と有意に関連するものはなかった。

    結論:PCEGは、保存療法で改善のなかった椎間板性神経根痛を有意に改善する可能性がある。

    要点:
    ・エタノールゲルを用いた経皮的化学的髄核融解法(PCEG)は外来で実行できる。
    ・PCEGは保存療法で改善のなかった椎間板性神経根痛を改善する。
    ・PCEGは外来で可能である。
    ・PCEGの失敗はその後の脊椎手術の妨げにはならない。

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  • X線不透過性ゲル化エタノールを用いた頚椎・腰椎椎間板ヘルニアおよび椎間板性疼痛の経皮的治療法

    要約

    本研究は、頚椎・腰椎椎間板ヘルニアおよび椎間板性疼痛の治療で、X線不透過性ゲル化エタノールを用いた化学的髄核融解の有効性を証明するものである。2010年4月1日から6月30日の間に10名の患者がこの治療を受けた。全員(100%)で満足のいく結果が得られた。治療中・治療後ともに有害事象は報告されず、椎間板内注入後、疼痛や鎮痛剤の摂取量が有意に減少したと記録された。この施術は簡単で安全に施行でき、満足のいく結果が得られた。したがって、椎間板ヘルニアと椎間板性疼痛の治療で良い選択肢となる。

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  • 腰椎椎間板ヘルニアにおける放射線不透過性ゲル化エタノールの適応:クロアチアの多施設共同研究

    要約

    目的:脊椎の痛みを軽減するために、低侵襲の経皮的脊椎施術が人気となっている。本論文の目的は、椎間板の化学的髄核融解術の安全性を評価し、最近販売されるようになった放射線不透過性ゲル化エタノールを用いた腰椎椎間板ヘルニアに対する経皮的低侵襲治療の有効性を報告することである。

    方法:施術前後の疼痛緩和は、各患者が0から10までのVerbal Numeric Scale(VNS)を用いて自己評価した。また、術前と化学的髄核融解術後の患者は、Roland-Morris腰痛特異的QOL尺度(RMQ)を用いて、追跡期間中に数回評価された。追跡期間は、0~6ヵ月、6~12ヵ月、12~18ヵ月、18~24ヵ月、24~30ヵ月とした。臨床的に有意な機能改善(CSFI)は、RMQで5点以上減少し、VNSで痛みの程度が50%以上減少した場合とした。

    結果:RMQを用いた場合、CSFIは第1追跡期間で29例中20例、第2追跡期間で27例中20例、第3追跡期間で12例中9例、第4追跡期間で9例中8例、最後の追跡期間で4例中4例となった。VNS評価では、CSFIは第1追跡期間で29例中19例、第2追跡期間で27例中19例、第3追跡期間で12例中9例、第4追跡期間で9例中8例、最後の追跡期間で4例中4例となった。

    結論:ゲル化エタノールの椎間板内注入は、VNSおよびRMQで評価した限り、疼痛緩和に効果的であると考えられる。治療は安全であり、取り扱いも簡単である。

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  • 症候性椎間板ヘルニアに対するエチルアルコールゲルの有効性

    要約

    目的:保存療法で改善のなかった症候性椎間板ヘルニアに対するDiscoGel®化学的髄核融解術の臨床成績を評価する。

    材料と方法:MRIで症候性椎間板ヘルニアが確認され、少なくとも6ヵ月間の保存的治療を行ったが改善のなかった患者を対象とした。Visual analogue scale(VAS)、Oswestry Disability Index(ODI)の数値および鎮痛薬の使用は治療時と治療12ヵ月後に記録した。治療時と治療12ヵ月後にマルチスライスCT(MDCT)による検査を行い、DiscoGel®の溢出と治療した椎間板容積の変化を評価した。31名の患者を対象とした独自の長期間の分析では、治療7年後にVASとODIを用いて電話による追跡調査が行われた。

    結果:71名の患者で合計87か所の椎間板ヘルニアが治療され、大部分(54%)はL4/5とL5/S1の治療であった。治療前のVASの数値「8」は、治療後12ヵ月で「3」まで下がり(p = 0.0001)、治療前のODIの数値「51」は、治療後12ヵ月で「15」まで下がった(p = 0.0001)。鎮痛薬の使用率は70.4%であったが、治療後は29.6%まで下がった。症候性の処置合併症はなかった。MDCTでは無症候性の神経周囲へのDiscoGel®の溢出が1例認められた。〔治療7年後に―エレーナ補注〕電話による追跡調査を受けた31名の患者では、VASおよびODIの数値は12ヵ月後の追跡調査と比較して統計的に有意な差がなかった。

    結論:保存療法で改善がなく、DiscoGel®による化学的髄核融解術を受けた症候性椎間板ヘルニアの患者は、症候性合併症を起こすことなく、疼痛緩和と障害軽減の有意な改善を達成した。DiscoGel®化学的髄核融解術は、症候性椎間板ヘルニアの治療において実行可能な低侵襲な施術である。

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  • 頚椎椎間板ヘルニアに対するDiscoGelの長期臨床効果

    要約

    背景:放射線不透過性ゲル化エタノール(DiscoGel, Gelscom SAS, France)は、化学的髄核融解の物質として椎間板ヘルニアの治療に使用されており、合併症もなく良好な結果を示している。また、頚椎椎間板ヘルニアの治療にも使用されており、この物質の潜在的有効性が示されている。

    目的:本研究の目的は、頸椎椎間板ヘルニアと慢性頚部痛を有する患者の治療におけるDiscoGelの長期的有効性と安全性を調査することである。

    研究デザイン:本研究は横断的で単施設で行われるものである。

    設定:本研究は、2013年11月から2016年5月にかけて、サカリヤ大学研修研究病院のペインクリニックを受診した患者を対象に実施された。
    方法:各患者は、治療前と治療の1か月後、3か月後、6ヵ月後、12ヵ月後に、visual analog scale(VAS)を使用して疼痛を評価し、Oswestry Disability Indexを使用して障害の程度を評価して、疼痛のある患者に対してはQOLも評価した。これは神経障害性疼痛質問票(DN4)の数値と一致する。

    結果:頸椎椎間板ヘルニアのある33名の患者が2013年11月から2016年5月の間にDiscoGelによる治療を受けた。治療前の疼痛と比べれば、各患者は治療1か月後、3か月後、6ヵ月後、12ヵ月後に有意な疼痛緩和が自己評価にて認められた(P = 0.01)。VAS、ODI、DN4の1か月後、3か月後、6ヵ月後、12ヵ月後の数値の差は、同じ変数で統計学的に有意ではなかった。治療後の合併症はなかった。

    限界:本研究はレトロスペクティブに行われたため、長期追跡調査のデータに問題があった。また、この研究は少数の患者を対象に行われた。

    結論:放射線不透過性ゲル化エタノールは、頸部に疼痛のある患者にとって、手術に代わる可能性のある治療法である。しかし、この施術の有効性を評価するためには、放射線不透過性ゲル化エタノールを用いた、より長い追跡調査を行うより多くの研究が必要であると考えている。

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  • 経皮的ゲル化エタノールによる椎間板性頸部痛の治療:予備的経験

    要約

    背景:経皮的DiscoGel®(Gelscom SAS、フランス)は、将来有望な新しい低侵襲施術として2007年に紹介され、腰椎手術において有効性と安全性を示したが、頚椎に関する使用例や科学研究報告は限られている。頸椎への使用に関する最初の発表(2010年)以来、発表された症例は100例未満である。我々はこの比較的新しい施術の初期経験を紹介する。我々は、経皮的DiscoGel®が椎間板由来の慢性頸部痛に対して安全で効果的な選択肢であると仮定した。

    方法:本臨床研究は、慢性的な椎間板性疼痛のある患者10名を対象にした。18個の頸部椎間板に対して経皮的DiscoGel®による治療を行った。選択基準は、MRIで患者の症状と一致する頚椎椎間板が確認され、保存的治療で改善のなかった慢性的な軸性頚部痛または関連頚部痛のある患者とした。除外基準は、臨床的脊髄症、運動障害、高度狭窄、または椎間板の高さが50%以上減少していること、または頸椎手術歴のある患者とした。

    結果:女性6例、男性4例の計10例は、18個の頚椎椎間板に対して経皮的DiscoGel®治療が行われた。C5/C6は最も多かった。治療前の平均VAS数値は8で、治療6週間後と3ヵ月後のVAS数値はそれぞれ2.2と2.9であった。治療後は合併症や神経障害がなかった。

    結論:本研究は症例数が少ないという限界がある。しかし、研究数が限られており、論文で発表された症例数が100例未満であることから、この初期的研究は、頚椎経皮的DiscoGel®が、頚椎椎間板原性疼痛に対して、保存的治療と外科的手術の中間として、低侵襲で有効な治療であり、成功率も高いことを示している。併存しうる疼痛の種類(侵害受容性疼痛、関連性、神経根痛、僧帽筋の痛み)を鑑別することは、施術の選択と治療結果の向上にとって極めて重要である。

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  • 椎間板ヘルニアの治療における放射線不透過性ゲル化エタノールの有効性と持続性

    要約

    背景:最近、椎間板ヘルニアを治療するために、画像誘導によるゲル化エタノールの経皮的椎間板内注入が紹介された。本研究の目的は、36ヵ月間の臨床的有効性と持続性を評価することである。

    患者と方法:2014年5月から2015年12月の間に、椎間板ヘルニアの患者83名(男性47名、女性36名、平均年齢48.9歳(18~79歳))が治療を受けた。頸椎治療が16例、腰椎治療が67例であった。疼痛の評価には、visual analog scale(VAS)が使用された。身体活動、鎮痛薬の使用、治療結果に対する患者の満足度、再治療に関する患者の意思も評価した。

    結果:59名の患者がアンケートに回答した。89.8%の症例には1ヵ月後にVAS数値が有意に下がった(p < 0.001)。頚椎の場合は76.9%で、腰椎の場合は93.5%の症例に改善があった。頚椎のグループではVAS数値が変わらないままであったが、腰椎のグループでは36ヵ月間にVAS数値がさらに減少した(p=0.012)。患者1名は脊椎手術を受けた。中等度および重度の身体障害のあった患者が治療前に96.6%であったが、12ヵ月後には30%以下に減少した。活発な患者の大部分(71.1%)は通常の仕事に戻り、78%は鎮痛剤の必要量が減少した。治療に満足していない患者はわずか5.1%で、10.2%は必要な場合でも再治療をしないと回答した。

    結論:画像誘導によるゲル化エタノールの経皮的椎間板内注入は、慢性頚椎および腰椎椎間板ヘルニアに対する安全で効果的かつ持続的な治療法である。低侵襲で、効果が長期間持続することから、このような治療は一次治療として選定された患者群に提案されるべきである。

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  • 椎間板ヘルニアによる坐骨神経痛または腰痛におけるDISCOGELによる経皮的治療の予測因子

    要約

    はじめに:腰痛と坐骨神経痛は、公衆衛生上の大きな問題である。これは過去数十年来、優先的に取り組む問題となっている。経皮的に注入するDiscogelは椎間板ヘルニアによる坐骨神経痛や腰痛の治療に使用される。研究報告では失敗率が25~30%とされる。これはボルドー大学病院の理学・リハビリテーション医療サービスで、長年にわたって日常的に使用されている。

    目的:椎間板ヘルニアによる坐骨神経痛や腰痛に対するDiscogel使用の効果予測因子の研究である。

    方法:2014年7月から2018年6月4日の間にDiscogel注入の治療を受けた、椎間板ヘルニアによる坐骨神経痛または腰痛患者を対象とした後ろ向き記述的研究である。治療の有効性は、ケベック腰痛障害尺度で適用される最小臨床的に重要な改善の数値と患者が容認できる症状状態の数値で評価される。治療後の数値が40点以下であり、20%以上の改善となる。

    結果:84症例を分析した。59症例では効果が認められた。体幹の柔軟性を象徴する指床間距離は、椎間板ヘルニアによる坐骨神経痛や腰痛に対するDiscogel治療の効果を予測する因子である。性別、病気休暇の期間、椎間板ヘルニアの種類は効果予測因子ではなかった。

    結論:椎間板ヘルニアによる坐骨神経痛や腰痛に対するDiscogel使用の効果予測因子を発見することは、失敗症例数を減少させるために利用できると思われる。

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  • 椎間板疾患の経皮的治療法の概要

    要約

    腰痛は、人口の大部分、特に若年成人に影響を及ぼす一般的な病状である。椎間板、椎間関節、神経根、仙腸関節など、多くの組織が痛みの原因となり得る。本稿では、椎間板の病態と、現在利用可能なその経皮的治療に焦点を当てる。それぞれの治療に関して、適応疾患、技術的側面、利点、合併症を調査し、さらに文献で報告されている治療成績やこの分野における新たな動向を評価する。

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  • 持続性腰椎椎間板ヘルニア患者に対する経皮的放射線不透過性ゲル化エタノール注入の臨床結果と安全性

    要約

    目的:中型から大型の腰椎椎間板ヘルニアのある患者に対して、放射線不透過性ゲル化エタノール注入の有効性と安全性を検討する。

    材料と方法:2014年12月から2018年6月の間に、25名の患者(男性14名、女性11名、年齢中央値52歳(21歳~90歳))が、25個の椎間板ヘルニアに対して、CT(コンピュータ断層撮影)ガイド下で放射線不透過性ゲル化エタノール注入による治療を受けた。すべての患者は神経障害がなく、少なくとも6週間にわたって保存的治療で改善のない腰痛を認めた。治療前後の疼痛はvisual analogue scale(VAS)で評価し、治療前後(6ヵ月)のVAS数値の差をWilcoxon符号順位検定で評価した。その後、患者はVASの変化率(不良(0%)、良好(1〜99%)、優良(100%))でグループに分類された。QOL(生活の質)との関連性(高いか低いか)は、Fisher正確確率検定を用いて評価した。

    結果:6ヵ月後の追跡期間終了時、疼痛は有意に改善した。VASの平均値(標準偏差)は8.1(1.26)から3.1(3.10)に低下し、VAS数値の差(95%信頼区間)は5.0(3.6、6.4)となった(p<0.001)。治療に対する疼痛反応は8例(32%)で優良、11例(44%)で良好、6例(24%)で不良であり、QOLと有意に関連していた(p<0.001)。

    結論:経皮的CTガイド下放射線不透過性ゲル化エタノール注入は、安全で、取り扱いが簡単で、QOL向上を伴う良好な治療結果を示す。

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  • 慢性神経根性腰痛患者に対する放射線不透過性ゲル化エタノール(DiscoGel®)の椎間板内注入と経皮的レーザー椎間板減圧術の有効性について

    要約

    背景:椎間板症による腰痛は一般的な疼痛疾患である。複数の低侵襲治療法が提案されているが、経皮的レーザー椎間板減圧術(PLDD)と放射線不透過性ゲル化エタノール(DiscoGel®)の椎間板内注入を比較した研究はこれまでない。我々は、神経根症に対するDiscoGel®とPLDDの報告されている治療実績に関する最初の研究を紹介する。

    方法:2016年から2017年にかけて当センターで行われたPLDDまたはDiscoGel®の過去の実績から72名の患者をランダムに選択した。参加者には、NRS(Numeric Rating Scale)数値、ODI(Oswestry disability index)数値、二次治療への移行について質問した。

    結果:両方のグループでは治療前のNRS数値の平均が8.0であったが、12ヵ月後に、DiscoGel®のグループ群では4.3に、PLDDのグループでは4.2に減少し、統計学的に有意であった。治療前の平均ODI数値は81.25%であったが、12ヵ月後に、DiscoGel®のグループでは41.14%、PLDDのグループでは52.86%に減少し、統計学的に有意であった。2回の追跡調査後のNRS数値の両グループ間の比較は統計学的な差はなかったが(P = 0.62)、ODIの数値はDiscoGel®の方が統計学的に低かった(P = 0.001)。各グループの6名(16.67%)は追跡期間後に外科的手術を受けたと回答されたが、統計学的な差はなかった。

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  • 腰椎椎間板ヘルニアの治療におけるDiscogelの安全性と有効性の評価:システマティックレビュー

    要約

    背景:WHOの統計によると、腰痛は発展途上国や先進国において、身体障害や生活の質に関わる問題の主な原因の一つである。腰椎椎間板ヘルニアは腰痛の最も一般的な原因である。本研究の目的は、腰椎椎間板ヘルニアまたはそれに起因する坐骨神経痛の治療におけるDiscoGel®の安全性と有効性を検討することである。

    方法:注入の臨床的有効性と安全性を評価するために、まずは関連するキーワード(DiscoGel®、DiscoGel®科学的髄核融解、経皮的低侵襲施術、放射線不透過性ゲル化エタノール、腰椎椎間板症、慢性椎間板性腰痛、腰椎及び頸椎椎間板ヘルニア)を明記した。次に、指定された検索戦略に基づいて2017/02/02まで関連データベース(Cochrane Library、Ovid MEDLINE、Embase、PubMed、Clinicaltrials.gov)を検索し、臨床試験およびコホート研究を調査した。意図した結果(疼痛や副作用の軽減)の抽出に加え、データの定性分析を行い、安全性と有効性の指標を検討した。

    結果:システマティックレビューの結果で、9篇の関連論文が得られた。それらはエビデンスに基づく医療関連のオックスフォード大学センターのエビデンスレベルでレベル2bのものであった。772名の患者を対象とした研究の結果では、注入の安全性及び、疼痛と副作用の軽減する効果が示された。注入は、その低侵襲性のため良好な臨床転帰(場合によっては、治療後の初期段階においても)をもたらした。DiscoGel®は、腰椎椎間板ヘルニアによる坐骨神経痛を治療する新しい低侵襲治療法として安全かつ効果的であり、保存的治療で改善がなかった場合に外科的手術の代わりとして使用することができると言える。

    結論:椎間板の経皮的治療は、非侵襲的な治療法と比較して、より良好で効果が長持ちする臨床結果(疼痛緩和と可動性)をもたらすようである。加えて、非侵襲的な施術は、様々な外科的手術と比較して、有意に効果的であり、副作用も少ない。その結果、これらの施術は、頚椎及び腰椎の椎間板ヘルニアの治療において、初回治療として、または外科的手術の代替手段として提案することができる。しかし、症例数や研究の種類が限られているため、このような結果を確認するためにはランダムな臨床試験を実施する必要がある。

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  • 放射線不透過性ゲル化エタノールの経皮的椎間板内注入:腰椎椎間板ヘルニア患者の短期及び長期評価における機能的帰結と合併症発生率

    要約

    腰椎椎間板ヘルニアは、腰痛や神経根痛の一般的な原因である。近年、症候性の腰椎椎間板ヘルニアの治療として、様々な低侵襲技術や切開外科的手術を含む様々な施術が提案されてきた。最近は、放射線不透過性ゲル化エタノールDiscoGel®の経皮的椎間板内注入も、腰椎椎間板ヘルニア患者に対する有効な治療としてある。とはいえ、この施術の有効性を論じた研究はほとんどない。本研究の目的は、この施術の有効性と安全性を評価することである。我々は、2012年から2015年の間にDiscoGelによる治療を受けた軽症または中等症の腰椎椎間板ヘルニア患者の施術記録と結果を分析した。結果変数は、疼痛緩和、身体活動の制限、うつ状態の重症度が含まれた。全体として、合併症発生率は周術期の有害事象の発生とした。計94名の患者がこの研究に参加した。1年後と4年後の追跡調査では、それぞれ90.6%と88.8%の患者で疼痛緩和が認められた。最後の追跡期間では、少なくとも92.5%の患者が治療結果に満足していた。身体活動の制限においても同様の結果が得られた。うつ病の状態は治療後に有意な変化がみられなかった。死亡率はなく、永続的な後遺症が残る患者もいなかった。厳選された患者で、DiscoGelは、外科的手術による全体的な合併症発生率を最小限に抑えながら、疼痛緩和と身体活動の制限という点で優良な機能的結果が持続するのに有効であることが証明された。

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  • 慢性椎間板性腰痛症に対する椎間板内ゲル化エタノール(ディスコジェル)注入と椎間板内パルス高周波法と
    ゲル化エタノール(ディスコジェル)注入の併用療法との有効性の比較:ランダムな二重盲式臨床研究

    要約

    目的:本研究の目的は、椎間板性腰痛症に対する有効性の観点から、椎間板内ゲル化エタノール注入(Discogel)と椎間板内パルス高周波法とゲル化エタノール注入の併用(PRF+Discogel)の二つの新しい施術を比較することである。

    デザイン:ランダムな二重盲式臨床研究。

    方法:最後に選ばれた患者をA群(18名、Discogel)とB群(18名、PRF+Discogel)にランダムに分けた。施術中は、B群の4名の患者が研究対象から除外された。A群とB群は、施術前と、施術1ヵ月後、3ヵ月後、6ヵ月後、12ヵ月後の疼痛スコア(VASの0~10)が評価された。本研究の二次的な目的は、Roland-Morris障害度質問票、LANSS痛みスケール、QOLスコア(EQ-5D)の結果で両群を比較することであった。

    結果:2群間で疼痛スコアの全体的な差を示す有意な証拠はなかったが(分散分析、F = 3.24, df = 1, P = 0.084)、6ヵ月後と12ヵ月後はB群がA群と比較して統計学的に有意な差を示した(Wilcoxon符号順位検定)。本研究の二次的な目的でも、B群はA群と比較して、統計学的に有意な差をもってより効果的であった。

    結論:独立の観察者による厳密で包括的な評価の結果では、Discogel単独注入とパルス高周波法を併用したDiscogel注入は、疼痛、機能、QOL、鎮痛薬の使用量において明確な改善をもたらし、それは12ヵ月間も持続していた。

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  • 椎間板変性症治療におけるDiscoGelの有効性:67名の患者の1年間観察の前向き研究結果

    要約

    椎間板変性症のある患者は、慢性的な椎間板性腰痛や下肢の神経根性疼痛に悩まされることがある。低侵襲のDiscoGel治療では、変性した椎間板の髄核にエタノールゲルを経皮的に注入する。本論文では、椎間板性腰痛と下肢の神経根性疼痛の患者でこの治療の1年間の転帰を比較する。我々は、最低6~8週間持続している椎間板性腰痛(45名)と下肢の神経根性疼痛(22名)のある、20~68歳(平均年齢46±11歳)の患者67名(男性49名、女性18名)に治療を行った。副作用はなかった。治療結果はCore Outcome Measures Index(COMI)とVisual Analog Scale(VAS)で評価した。エタノールゲル注入1年後、椎間板性腰痛の患者ではCOMIの数値が66%(6.40対2.20)、VASの数値が53%(6.33対2.97)下がった。下肢の神経根性疼痛の患者では、COMIの数値が48%(7.05対3.68)、VASの数値が54%(6.77対3.13)下がった。追跡期間終了時のCOMIとVASの数値に差はなかった。研究開始6ヵ月後、椎間板性腰痛の患者の74%と下肢の神経根性疼痛の患者の81%は鎮痛薬をしなかった。エタノールゲルによる治療は多くの患者に有効である。失敗があった場合は、患者が他の外科的治療を受けられなくなるわけではない。

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  • DISCOGEL®の静菌・殺菌効果

    要約

    DISCOGEL®の椎間板内注入は、椎間板ヘルニアの治療で介入方法として認められている。放射線不透過性ゲル化エタノールとしても知られるこの注射用インプラントは、ゲル化エタノールと放射線不透過性剤であるタングステンの組み合わせからなり、様々な作用機序を持っている。Discogelは最も効果的で安全な治療法であり、長期にわたり有効で、有効率が91.4%で、合併症のリスクが0.5%以下であると報告されている。本研究では、注入後および治療後の感染症に関与する7つの一般生菌(すなわち緑膿菌、黄色ブドウ球菌、エンテロコッカス・フェカリス菌、化膿レンサ球菌、アクネ菌、アシネトバクター・バウマニ菌およびクレブシエラ・アエロゲネス菌)に対するDiscogelの抗菌効果を検討した。試験管内で行った実験と統計解析により、異なる濃度のDISCOGEL®が実験で扱った全ての菌株に対して有意な活性を有することが明らかになった。グラム菌の分類とDISCOGEL®の抗菌効果との間に有意な関係は見られなかった。この注射用インプラントがこのような付加的な効果を有する。

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  • 放射線不透過性ゲル化エタノール(Discogel)による椎間板変性疾患の経皮的治療:イランにおける初期経験

    要約

    背景:椎間板変性疾患に対する低侵襲的治療は、人気になりつつある。何年も前から様々な椎間板内施術が紹介されているが、その結果は様々である。最近、Discogelが紹介されて、その結果が期待されている。

    目的:イラン人患者を対象に行われたDiscogelの椎間板内注入の初期経験を紹介し、Discogelの有効性と安全性を評価すること。
    材料と方法:保存的治療(外科的手術をしない治療)で改善のなかった、症候性腰椎椎間板ヘルニアまたは頚椎椎間板ヘルニアの患者100名を対象とした。Discogelは、標準的な施術方法で、X線透視/CT透視ガイド下で注入された。患者の定期的な経過観察で、Visual Analogue Scale(VAS)を用いて痛みの強さを評価した。

    結果:施術時間は注入する椎間板数によるが、15分から90分で、入院時間は3時間から24時間であった。平均のVAS数値は治療前に10であったが、治療1週間後では5に低下し、治療1ヵ月後では0であった。3名の患者のみは治療1ヵ月後の経過観察で、強い痛みが残っており、外科的手術が行われたと回答した。合併症は認められなかった。

    結論:この予備的研究は、選択された症例に対してDiscogelの椎間板内注入の有効性と安全性を示している。結果を評価するためには、さらなる長期の経過観察が必要である。

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  • 腰椎椎間板ヘルニアに対する椎間板内ゲル化エタノール髄核融解療法と内視鏡手術の比較

    要約

    本研究の目的は、椎間板ヘルニアの治療において、ゲル化エタノールの椎間板内注入と内視鏡下椎間板摘出術の有効性と安全性をレトロスペクティブに比較することである。両施設のデータベース調査により、症候性椎間板ヘルニアのある40名の患者が特定された。髄核融解術群の20名は平均年齢が50.05±9.27歳で、男女比が14:6(70%:30%)であり、外科的手術群の20名は平均年齢が48.45±14.53歳で、男女比が12:8(60/40%)である。第一の結果は、下肢痛が治療時から12ヵ月間で改善したことであった。技術的成果が記録され、有害事象は全追跡期間で評価された。合併症の評価にはCIRSEの分類を用いた。髄核融解術群における治療前の平均疼痛数値は7.95±0.94であったが、1ヵ月後には1.25±1.11に減少し、1年後には0.45±0.75となった。外科的手術群の術前の平均疼痛スコアは7.65±1.13であったが、1ヵ月後には1.55±1.79で、1年後には0.70±1.38に減少した。痛みの強さの減少は、両方の治療の後に統計学的に有意であった(p<0.001)。両群の痛みの減少に統計学的な有意差はなかった(p= 0.347)。一般的な活動、睡眠、社会生活、歩行、生活を楽しむことに対する疼痛減少の影響に関しては、両群間に統計学的な有意差は認められなかった。両群とも合併症は認められなかった。本研究の結果、症候性腰椎椎間板ヘルニアの治療において、ゲル化エタノールの椎間板内注入術と内視鏡下椎間板摘出術は、12ヵ月間の平均下肢痛改善の点で、有効性・安全性で同等であることがわかった。両治療とも、同様な急速な有意な臨床的改善を示し、追跡期間中にそれを持続していた。

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  • MRIにおける椎間板のディスコゲル治療の効果

    要約

    目的:エタノールゲル化学的髄核融解が治療後の椎間板のX線画像に及ぼす影響、初期のX線画像とエタノールゲル化学的髄核融解術後の患者の臨床状態との関係、およびエタノールゲル化学的髄核融解術の対象となる患者の最適なX線画像の基準を明らかにすること。

    材料と方法:本研究は、適格性評価、X線撮影、臨床アンケート評価の後、エタノールゲル化学的髄核融解術法を行った患者45名(男性25名、女性20名。23~68歳(46+-11))を対象とした。

    結果:結果として、治療された椎間板では、膨隆部のサイズの減少とガドリニウム増強部分の縮小が認められた。治療前の磁気共鳴画像における高輝度変化の存在は、治療のタイミングと結果の良い予測因子であることが判明し、隣接するセグメントでは椎間板の高さの増加が観察された。

    結論:この調査結果は、エタノールゲル化学的髄核融解が脊椎疾患に対する有望な治療法であり、治療前の磁気共鳴画像上の高輝度変化がこの治療法の適格基準として使用できることを示唆している。

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フローレンス法の研究・論文について

  • 新しい脊椎インプラントの技術

    要約

    脊椎圧迫骨折は、呼吸器系や消化器系の機能障害に続発する全身合併症を引き起こす脊柱後弯症をもたらす可能性がある。脊椎圧迫骨折治療における脊椎インプラントの使用は、セメント注入のみによる治療からのパラダイムシフトを意味し、椎体へのセメント注入による鎮痛効果と安定化効果に加え、椎体高の回復と後弯角度矯正も目的としている。脊椎圧迫骨折治療に使用できる脊椎インプラントには、ステント、ジャッキ、PEEKケージ、骨折修復支援システムなどがある。神経性間欠性跛行を伴う腰部脊柱管狭窄症は、身体障害や生活の質の低下を招く、最も一般的に発症する脊椎疾患の一つであり、50歳以上で起こることが多い。脊柱管狭窄症による症状緩和のための経皮的棘突起間スペーサーは、外科的手術の適応とならない患者にも使用することができる。本論文の目的は、脊椎圧迫骨折や脊柱管狭窄症の患者に対して行われる脊椎インプラントの基本概念を記述することである。生体力学の役割と様々な種類のインプラントについて説明する。技術や製品に関する論争も取り上げる。最後に、異なる症例や解剖学的部位に異なるインプラントを使用する場合、個々に合わせたアプローチの必要性を強調する。

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  • イタリアのルネサンス:スペーサー

    要約

    9年間にわたる経皮的棘突起間スペーサーの使用はManfre他の論文で紹介されている。この論文は、コホートの規模の大きさ、長期間の経過観察に加え、以前の研究でふられていない領域、すなわち脊椎形成術の補助的使用について言及している。この研究結果は、腰部脊柱管狭窄症に対する経皮的棘突起間スペーサーの使用の役割をさらに確立するのに役立つ。
    Manfre他の研究では、In-space(Depuy Synthes社、米国マサチューセッツ州)、Helifix(ATEC Spine社、米国カリフォルニア州)、Lobster(Techlamed社、イタリア)が使用されたが、これらはヨーロッパでは使用可能だが、米国では使用できない装置である。著者らは、2011年1月以降に行われた全症例が、予防的脊椎形成術と併用して行われたと指摘している。棘突起骨折やスペーサーの変位のリスクを下げるための脊椎形成術の実施は、スペーサーと外科的手術を比較したどの研究でも報告されていないことを強調すべきである。
    米国ではポリメチルメタクリレートを用いた脊椎形成術が実施されていないが、症状の再発を抑えることができるため、骨折のリスクが高い患者(骨減少症や骨粗鬆症のある患者)に対して脊椎形成術を実施することを検討すべきである。経皮的治療を受ける患者の多くは高齢であり、外科的手術が実施できないことがあるため、骨密度検査DEXA法や同様の検査を用いて、治療前に骨折リスクを確認すべきである。
    棘突起間スペーサーの使用は観血的除圧術ができないとみなされた患者に対して代替治療となる。スペーサーは経皮的に挿入することができ、将来の除圧術や固定術を妨げるものではない。棘突起間スペーサーの経皮的挿入に関する研究の結果は有望である。

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  • 9年間の患者コホートにおける経皮的棘突起間スペーサーの使用成功事例と補助的な椎弓形成術

    要約

    目的:腰部脊柱管狭窄症および腰部椎間孔狭窄症は、神経性間欠性跛行を引き起こし、機能性およびQOLに悪影響を及ぼす一般的な変性疾患である。近年開発された経皮的棘突起間装置は、低侵襲の代替治療法である。本研究では、9年間の経皮的棘突起間装置使用の単一施設の経験を詳述し、失敗率を下げるための脊椎増強術(椎弓形成術)の補助的実施について検討する。

    方法:脊椎専門病院を受診した800名の連続患者を評価し、688名に対して治療を行った。
    評価を行い、688名が治療を受けた。治療適応の基準は、高度の狭窄、保存的治療で改善のないこと、筋電図検査結果であった。256名は経皮的棘突起間装置の単独治療を受け、432名は隣接棘突起のポリメチルメタクリレートを用いた脊椎増強術を同時に受けた。Zurich Claudication Questionnaire (ZCQ)とOswestry Disability Index (ODI)を用いて、3ヵ月後と12ヵ月後にフォローアップを行った。

    結果:両グループの患者ともZCQ数値(3.2から1.3へ)とODI数値(32から21)に著明な改善がみられ、満足度(1.7)も高かった。同時に脊椎増強術を受けたグループの症状再発率は、経皮的棘突起間装置の単独治療グループと比較して低かった(1%未満対11.3%)。

    結論:本研究は、腰部脊柱管狭窄症の治療における経皮的棘突起間装置の有効性を実証している。また、脊椎増強術を同時に行うことで、症状の再発率を下げることができることを示している。

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  • 新しい取り外し可能な経皮的棘突起間スペーサー挿入後の臨床結果および放射線学的転帰:初期経験

    要約

    目的:症候性の変性性腰部脊柱管狭窄症に対して、取り外し可能な経皮的棘突起間スペーサー(LobsterProject® Techlamed®)を使用した患者の臨床結果と放射線学的結果を評価する。

    方法:2019年に2施設で本棘突起間スペーサーを挿入した全患者をレトロスペクティブに検討した。施術は画像下治療の医師2名により深鎮静または全身麻酔下で行われた。患者は施術前と治療3ヵ月後のフォローアップ時に、Visual Analog Scale(VAS)、Oswestry Disability Index(ODI)で臨床評価が行われ、またMRIまたはCTスキャンで放射線学的に評価された。各患者の椎間孔は施術前と施術後のCTスキャンで2名の放射線科医により独立して測定された。

    結果:選択された期間中に59名の患者が治療を受け、そのうち58例が完全な記録を有している。平均年齢は71.2±9.2歳(55~92歳)で、男性は32名、女性は26名であった。48名は深鎮静下で、10名は全身麻酔下で治療を受け、合併症はなかった。3ヵ月後の臨床経過観察では、疼痛が有意に軽減し(VAS:83±9→29±19、-65%、p<0.001)、機能的転帰が改善した(ODI:31±12→13±10%、-58%、p<0.001)。満足のいく装置位置ができなかった症例は1例で、3ヵ月後の経過観察でスペーサーが後方に移動した症例が2例、棘突起骨折が1例であった。椎間孔の平均面積は77±23mm2から95±27mm2に増加し(+26%;p<0.001)、評価者間の信頼性は非常に良好であった(クロンバックのα係数は0.899)。

    結論:取り外し可能な棘突起間スペーサーの経皮的低侵襲挿入は、良好な安全性プロファイル、3ヵ月後の良好な臨床結果および解剖学的な椎間孔面積の増加を示す。

    臨床試験登録:ClinicalTrials.gov内の識別子:NCT05203666、公開日:2022年1月21日、レトロスペクティブ登録。

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  • 脊柱管狭窄症治療における経皮的棘突起間スペーサー:長所と短所

    要約

    棘突起間スペーサーに関する文献の包括的な評価研究は、主に変性性腰部脊柱管狭窄症の治療における保存的治療や外科的除圧術との比較に焦点を当てている。本稿では、棘突起間スペーサーの長所と短所を把握するために、近年のメタ研究と論文を掲げた。

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  • 新しい経皮的棘突起間スペーサーの有効性と安全性:多施設共同研究

    要約

    目的:3施設の255名の変性性腰部脊柱管狭窄症患者を対象に、新しい経皮的棘突起間装置(Lobster®, Techlamed, Firenze, Italy)の安全性と有効性をレトロスペクティブに評価する。

    材料と方法:本研究では、2016年11月から2020年3月にかけて、単分節・二分節中心性狭窄や椎間孔狭窄症で変性性腰部脊柱管狭窄症による神経性間欠性跛行を有する患者255名(男性125名、平均年齢71.2歳(49~91歳))を対象とした。
    臨床転帰はVisual Analog Scale(VAS)とZurich Claudication Questionnaire(ZCQ)を用いて、施術前と6ヵ月後のフォローアップ時に評価した。技術的成功は、治療直後に行われたCT検査結果で示された経皮的棘突起間装置の正確な配置と定義された。骨粗鬆症・骨減少症の患者に対しては椎弓形成術が行われた。

    結果:治療は合計290椎間(L2/L3=11例、L3/L4=90例、L4/L5=179例、L5/S1=10例)で行われた。28名の患者は、同時に1つ以上の装置(最大3つの装置)が埋入された。6名の患者は、別時に2回目のインプラントを要求した。
    172例の予防的椎弓形成術が行われた(59.3%)。成功率は99.6%(258例中257例)であった。
    3例はLobster ®装置の置き換えとなり、成功した。
    ほとんどの患者(254名、99.6%)は症状の改善がみられ、Lobster埋入前の平均VASスコアは7.8であり、6か月後のフォロー時には2.9まで下がった。
    Lobster埋入前の平均ZCQスコアは56.4で、治療後は28.6であった。

    結論:Lobster®経皮的棘突起間スペーサーは、変性性腰部脊柱管狭窄症患者に対して安全で有効な経皮的低侵襲施術だと言える。

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  • 脊柱管狭窄症治療における経皮的棘突起間スペーサー:長所と短所

    要約

    目的:症候性の変性性腰部脊柱管狭窄症に対し、取り外し可能な経皮的棘突起間スペーサー(LobsterProject® Techlamed®)を使用した初期患者の臨床結果および放射線学的転帰を評価する。

    材料と方法:2019年に我々の2つのセンターで本棘突起間スペーサーを挿入する治療を受けた全患者をレトロスペクティブに検討した。臨床的または放射線学的記録が不十分である患者を除いている。施術は画像下治療の医師2名により深鎮静下または全身麻酔下で行われた。患者は施術前と治療1ヵ月後のフォローアップ時に、Visual Analog Scale(VAS)、Oswestry Disability Index(ODI)で臨床評価が行われ、MRIまたはCTスキャンで放射線学的に評価された。各患者の椎間孔は施術前と施術後のCTスキャンで2名の放射線科医により独立して測定された。

    結果:選択された期間中に61名の患者が治療を受けたが、そのうち57の症例が選択された。平均年齢は71.3±9.3歳(51~92歳)で、男性は32名、女性は25名であった。合併症の報告はなかった。1ヵ月後の臨床経過観察では、疼痛が有意に軽減し(VASスコア83±9→29±19、-65%、p<0,001)、機能的転帰が改善した(ODIスコア31±12%→13±10%、-58%、p<0,001)。臨床的影響を伴わない満足のいくスペーサー位置ができなかった(棘突起間スペーサーが後方しすぎた)が4例で、局所麻酔下で経皮的除去が必要となった棘突起骨折が1例あった。椎間孔の平均面積は77±23mm2から95±27mm2に増加し(+26%;p<0,001)、評価者間の信頼性は非常に良好であった(クロンバックのα係数は0,899)。

    結論:この取り外し可能な経皮的棘突起間スペーサーを用いて治療された初期の患者症例は、本施術の安全性プロファイル及び1ヵ月後の良好な臨床結果を示し、また放射線学的な椎間孔面積の増加も確認できた。

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  • 腰部脊柱管狭窄症の治療における低侵襲性棘突起間スペーサーの使用:文献レビュー

    要約

    棘突起間拡大装置や棘突起間固定装置などの低侵襲棘突起間装置は、症候性腰部脊柱管狭窄症の治療に次第に利用されるようになってきている。その有効性と安全性については、椎体間固定術を併用したり併用しなかったりする従来の除圧術と比較しながら、現在も議論が続いている。本研究では、棘突起間装置に関する包括的なレビューを行い、次の点について検討する。(1)低侵襲棘突起間拡大装置が神経除圧術の効果的な代替となり得るか。(2)棘突起間固定装置が除圧術後の固定術の代替となり得るか。
    2020年1月22日までに発表された論文をPubMed検索から入手した。英語で発表された関連論文を選択して批評した。様々な棘突起間装置の種類に関する観察研究では一貫して、短期間の追跡調査における臨床転帰や患者満足度の有意な改善が認められている。手術をしない治療と比較して、低侵襲棘突起間拡大装置は、2年間の追跡調査でQOLと臨床転帰の改善が有意に大きかった。除圧を行う開窓術と比較すると、低侵襲棘突起間拡大装置は臨床転帰が同程度であるが、合併症のリスク、再手術のリスク、費用が高かった。固定術を併用した開窓術と比較して、棘突起間固定装置の使用は同等の臨床転帰を示し、手術時間、出血量、入院期間が少なく、隣接部位の可動性も低かった。低侵襲棘突起間拡大装置は、軽度や中等度の脊柱管狭窄症に対して、2年間の経過観察で、手術をしない治療よりも良好な結果を示したが、除圧を行う開窓術と比べれば結果が同等であるが、再手術のリスクが高い。除圧術を伴う棘突起間固定装置の使用は、グレード1の脊椎すべり症および中心性狭窄症に対して除圧術および固定術に代わる適切な治療法となり得る。
    この施術の特徴をさらに明らかにするために、今後の研究では、新世代の棘突起間装置の性能向上の調査や、より長期間の追跡調査、慎重な患者選択に焦点を当てるべきである。

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  • 新しい経皮的棘突起間スペーサーの経皮的除去および交換

    要約

    目的:本研究の目的は、新規の経皮的棘突起間スペーサーの除去および交換の手技について説明することである。

    施術:男性患者3名(62~72歳、平均年齢66歳)が、新規経皮的棘突起間スペーサーの除去(2例)または置換(1例)で研究に組み入れられた。最初の施術から平均23.3日±10.5日後(範囲13-34)に、L4/L5レベル(1例)およびL3/L4レベル(2例)に行われた。経皮的棘突起間スペーサーの除去後、4つの新しいスペーサーが挿入された。

    結論:新規の経皮的棘突起間スペーサーは、施術中に挿入した直後でも、挿入から一定期間後(数日から数ヵ月後)でも安全に除去できる。除去施術は、最初の施術時に使用したのと同じ器具を用いて、4つの開閉可能な翼を閉じることにより、画像透視下で経皮的に行うことができる。

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  • 新しい経皮的棘突起間スペーサーの有用性、安全性、有効性:多施設共同による後ろ向き研究

    要約

    目的:症候性変性腰部脊柱管狭窄症に対する新しい経皮的棘突起間スペーサーの安全性と有効性を3つの異なる施設で評価する。

    方法:2016年11月から2020年3月までに、1箇所か2箇所の腰椎中心型脊柱管狭窄症および/または椎間孔狭窄症による、筋電図検査で確認された神経性間欠跛行のある患者255名(男性125名、平均年齢71.2歳、範囲49~91歳)が研究に参加した。磁気共鳴(MR)および/またはコンピュータ断層撮影(CT)、身体検査、Visual Analogue ScaleおよびZurich Claudication Questionnaireが、治療前および治療6ヵ月後に行われた。すべての治療は、局所麻酔と軽い鎮静剤を用い、X線透視下で行われた。技術的成功は、治療直後に行われたコンピュータ断層撮影(CT)によって示されたLobster®経皮的棘突起間スペーサー(Demetrios Medical社、イタリア、フィレンツェ)が正しく設置されたことと確認された。

    結果:経皮的棘突起間スペーサー設置の成功率は99.6%であった(258例中257例)。挿入されなかった1例は棘突起骨折によるものであった。28名の患者において、1施術にて同時に1つ以上のスペーサーが挿入され(最大は3つの経皮的棘突起間スペーサー)、6名の患者は、別の施術にて2つ目のスペーサー植え込みが必要であった。合計172件の予防的棘突起形成術が行われた(59.3%)。重大な合併症は発生しなかった。3例のスペーサー誤挿入は、経皮的にスペーサーを除去して、新たなスペーサー設置で治療が成功した。99.6%の患者に臨床的改善がみられた。

    結論:Lobster経皮的棘突起間スペーサーは、患者を正しく選別すれば、中心型脊柱管狭窄症や神経性椎間孔狭窄症に対する効果的で安全な低侵襲除圧術である。

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