ILCの椎間板ヘルニア
に対する治療

椎間板ヘルニアは、椎間板の変性により生じた亀裂が問題とされています。この亀裂は繰り返される椎間板への過剰な圧縮／剪断などの機械的ストレス・加齢・喫煙や食事などの生活習慣がリスクになっていることが分かってきています。損傷した椎間板は、痛みが感じる神経に刺激をしやすい状態になっていたり、クッション機能が機能にくくなったりします。このクッション機能が低下することで、椎間関節や椎骨など周辺組織に悪影響を及ぼします。クッション機能が低下した状態でもリハビリは可能ですが、リハビリでは椎間板の亀裂の修復やクッション機能を高めることは出来ず、椎間板の変性が拡大しないように負担を増やさないようにすることしか出来ません。
したがって、当リハビリでは椎間板の機能を修復した上で、再発予防の為にリハビリを実施することが非常に重要と考えています。
また椎間板を劣化させないように、食事の仕方などから生活習慣を見直すことも当リハビリでは行っております。

椎間板ヘルニアによる損傷部位／損傷具合・周囲組織の状態を把握するために、画像所見を基にとドクターとのカンファレンスを行います。
カンファレンスの所見を参考にして、実際に身体をゆっくりと動かしながら、日常生活における姿勢や動作における症状の増悪因子と緩和因子を評価します。
症状の増悪因子と緩和因子とは、増悪因子は、行ってはいけない身体の使い方のことを指し、緩和因子とは、その体の動かし方をすることで症状が緩和することを指します。
これらの因子を筋力・体の硬さなどと包括的に評価し、症状の本質を探っていきます。
また、炎症は体質との関係性が非常に深いので、体質により炎症を強めていないかを問診や体内の酸化ストレス度の評価も行います。

まずはじめに、椎間板修復を行うことは非常に重要です。ですが痛みや痺れに効果は高いものの、再発につながるリスク（筋力低下、関節の可動域など）へは直接働きかけることができません。
そのため当リハビリ施設における現在出ている症状の緩和だけではなく、再発防止に重点を当てたリハビリが重要となります。
＊一度飛び出した椎間板を修復したとしても100％以前の状態に戻ることはありません。
腰椎椎間板ヘルニアは姿勢の悪さや筋力低下により椎間板へ負荷がかかり発生する疾患のため、リハビリを評価と画像所見を元に、椎間板や周囲の組織に対し低負荷、低負担な姿勢から始めていきます。
また、痛みや痺れなどの症状がある場合は鍼灸治療も併せて行っていきます。
鍼灸治療は、神経の炎症を抑える目的/痺れの緩和を目的に電気鍼等も実施しています。

腰椎椎間板ヘルニアの炎症自体はセルゲル法をしてリハビリを行っていけば、痺れがない場合は個人差があるものの1週間~2週間程度で炎症に関しては緩和傾向、痛みの大部分が緩和するのは3か月ほどかかる傾向です。
ヘルニアによる炎症が治まっているにもかかわず痛みが続いている場合は筋肉や周辺組織による影響が考えられます。姿勢を維持する筋肉や筋力を定着させるためには2週間～2か月はかかります。
腰椎椎間板ヘルニアのリハビリ治療期間に関しては2週間以上の集中したリハビリ期間と月に1・2回のメンテナンスを設けていただくことが望ましいです。その後は体の使い方や姿勢に必要な筋肉の定着を目標にセルフケアを指導させていただきます。筋力維持の観点からも自己判断でリハビリを中断することのないよう気を付けましょう。
ですが痺れがある場合は、症状が出現してから経過した時間によりその後が変わってきます。半年までなら緩和しやすいのですが、5年など長ければ長いほど以前の状態に近づくのは難しくなります。最低でも症状が落ち着くまでに3か月~6か月、人によれば1年以上かかる傾向にありますが、一概に治療期間をお伝えすることは難しいです。
他にも神経が傷ついているのか、麻痺による感覚鈍麻はあるか、運動麻痺は起こっていないかなど数多くのことが関わってくるため治療には時間と根気が必要となってきます。定期的なリハビリによるメンテナンスが不可欠となるでしょう。