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腰の治療症例紹介・コラム

圧迫骨折とは。他の骨折との違いや原因について

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腰椎疾患の一つである圧迫骨折。特に高齢者に多いです。

今回は、圧迫骨折とは何か、その原因などについて解説します。

圧迫骨折とは

圧迫骨折(椎体骨折ともいいます)とは、椎体に外から圧力がかかって起きる骨折のことです。圧迫骨折で椎体が潰れてしまいます。

脊椎は、頸椎、胸椎、腰椎、仙椎からなっています。圧迫骨折が生じやすいのは、腰椎と胸椎の間の胸腰椎移行部です。

場合によっては複数箇所で圧迫骨折が生じることもあります。複数箇所の圧迫骨折のために背中が丸くなり身長が低くなる場合もあります。

新規の圧迫骨折の発生率は、40代の男性で2.2%、女性で2.1%、50代の男性で4.9%、女性で4.5%、60代の男性で5.1%、女性で14.0%、70代男性で10.8%、女性で22.2%だと報告されています。以前、圧迫骨折があった場合は、新たな椎体骨折のリスクが高まり、50代の男性で8.3%、女性で6.1%、60代の男性で10.0%、女性で18.0%、70代男性で12.2%、女性で22.4%だそうです。*1

圧迫骨折は椎体高や椎体面積が減少する度合いで、軽度、中等度、高度に分類されています。*2

(『椎体骨折評価基準(2012年度改訂版)』Osteoporosis Japan. Vol. 21, No. 1. 2013より)

*1 参照元:Noriko Yoshimura, et al. Cumulative incidence and changes in the prevalence of vertebral fractures in a rural Japanese community: a 10-year follow-up of the Miyama cohort. Archives of Osteoporosis. 2006, 1(1-2).

*2 参照元:『椎体骨折評価基準(2012年度改訂版)』Osteoporosis Japan. Vol. 21, No. 1. 2013.

圧迫骨折の症状

腰椎圧迫骨折の主な症状は、強い腰痛です。寝返りする時、起き上がる時など、体を動かす際は激しい痛みが発生します。これは圧迫骨折の特徴の一つです。

安静にしているときは、それほど痛みを感じないのも圧迫骨折の特徴と言えます。

潰れてしまった椎体が神経を圧迫すると、下肢の痛みやしびれなどの症状が出ることもあり、椎間板ヘルニアなどに似たような症状もあります。

圧迫骨折の原因

腰椎圧迫骨折の主な原因は、骨粗しょう症です。

骨粗しょう症とは、加齢や生活習慣などによって骨密度が低下して骨が折れやすくなっている状態です。骨粗しょう症は閉経後のホルモンバランスも影響していると言われており、特に女性が発症する事例が多いです。

圧迫骨折の発生要因としては、悪性腫瘍、糖尿病、アルコール多飲、結核の既往などが挙げられています。これは特に男性の骨質に影響を及ぼし、男性の圧迫骨折発生につながってしまいます。*3

*3 参照元:大湾一郎「脊椎椎体骨折の発生要因は男女で異なる」『沖縄赤十字病院医学雑誌』第23巻1号、2018年。

骨粗しょう症や骨質劣化により骨が脆くなると、外部から圧力が加わった時に圧迫骨折となります。例えば、尻もちをつく場合、転倒してしまう場合、重いものを持ち上げた時、咳やくしゃみをした場合などは圧迫骨折を引き起こしてしまいます。

圧迫骨折の治療

脊椎圧迫骨折の治療としては、コルセット等を着用して骨折が治癒するのを待つ保存療法と、手術によって骨折した背骨を治療する手術療法があります。

手術としては、潰れた椎体の形を直すバルーン椎体形成術が行われます。3つ以上の椎体が骨折している重症の場合は、脊椎固定術が行われます。

圧迫骨折の影響

圧迫骨折の影響で、骨が曲がったり変形したりしてしまうことがあります。

背中が丸くなると、胸が圧迫されて肺活量が減少する恐れがあり、息切れになってしまいます。また、胃が圧迫されることによって食欲の低下や、逆流性食道炎のような内臓の病気につながる恐れもあります。

圧迫骨折により、更なる骨密度の低下にもつながり、新たな圧迫骨折になりやすくなります。

また、圧迫骨折は潰れた椎体の上下の椎間板変性を促すこともわかっています。*4

圧迫骨折のあった椎体上下の椎間板が変性していき、椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症などの原因となり、慢性的な腰痛にもなり得ます。

*4 参照元:Yunshan Su, et al. A retrospective study evaluating the correlation between the severity of intervertebral disc injury and the anteroposterior type of thoracolumbar vertebral fractures. Clinics. 2016, 71 (6).

当院の治療

当院は、損傷した椎間板を修復する治療、セルゲル法を行っております。

当院のセルゲル法では、椎間板のひび割れ部分を埋める薬剤を注射し、それがゲル状になってひび割れを補綴するため、根本的な治療を行うことができます。椎間板のボリュームが減少することがなく、治療後に薬剤がゲル状のインプラントとして椎間板に残りますので、椎間板が温存されることが特徴です。

腰痛でお悩みの方は、一度当院での診察を受けることをご検討ください。

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