治療症例紹介・コラム

Colum 仙腸関節痛とは。他の腰痛・関節痛との違いや原因、治療法について

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腰痛や臀部痛を訴える方に、仙腸関節痛が疑われることがあります。

今回は、仙腸関節痛とは何か、その原因や治療法などについて解説します。

仙腸関節痛とは

仙腸関節痛は、仙腸関節障害や仙腸関節炎等で起こります。

仙腸関節は、骨盤の仙骨と腸骨の間にある関節です。上半身の体重を支え、下半身との連動、身体のバランスを担う役割を担っています。

中腰での作業や外部からの衝撃、出産などにより、関節に微小なずれが生じたり炎症が起きたりすると、片側もしくは両側に痛みが発生します。これは仙腸関節障害や仙腸関節炎といいます。

仙腸関節障害は、次のような場合に発症します。

・ライン作業や調理など、片足荷重や体重移動などを繰り返す作業をする場合

・妊娠中や産後経験がある場合

・サッカーやソフトボールなどの片足に大きな力が加わるスポーツの場合

・重たいものを持つことが多い仕事の場合

仙腸関節痛は、腰痛患者の15%~30%を占めていると言われています。*1

*1 参照元:Cohen S.P., Chen Y., Neufeld N.J. Sacroiliac joint pain: a comprehensive review of epidemiology, diagnosis and treatment. Expert Review of Neurotherapeutics, 13(1), 2013.

仙腸関節障害の症状

仙腸関節障害の主な症状は、腰痛、臀部痛、下肢の痛みやしびれです。

仙腸関節障害の痛みには次のような特徴があります。

・階段の上り下りで痛みが出る

・長時間立つのが辛い

・片足に重心をかけると痛みが出る

・ランニングや大股で歩くと痛い

・歩行開始時に腰の痛みがあるが、長時間歩くと徐々に楽になる

・長時間椅子に座れない

・仰向けに寝られない

他の腰痛との違い

仙腸関節障害の特徴的な症状は、仙腸関節部(片側または両側)の痛み、大腿後外側の痛み、鼠径部の痛みです。

長く座っていることが辛かったり、痛い方を下にして寝られなかったりして、動き始めの際に痛みがあるとよく聞かれます。

仙腸関節障害の症状は椎間板ヘルニアなどとよく似ている場合もありますが、仙腸関節障害を確認するために、ワンフィンガーテストがあります。腰の下部やお尻を指一本で指して、上後腸骨棘付近に痛みを感じる場合は、仙腸関節障害が疑えます。

仙腸関節痛の原因

仙腸関節障害は、腰をひねる、脚を前後に大きく開く、中腰での作業、外傷などによって、偏った負荷が骨盤にかかることで発症するとされています。

重い鞄をいつも決まった側の肩にかけている、座るときに脚を組む癖がある場合は、発症リスクが高くなります。

また、女性の場合は生理周期や出産によって仙腸関節周辺の靭帯が緩み、仙腸関節障害の発症につながってしまうと言われています。

近年の研究では、椎間板ヘルニアが仙腸関節障害の発症に関係して、椎間板ヘルニアに脊柱管狭窄症等が合併すると、仙腸関節障害も進行して重症化してしまうことがわかっています。*2

*2 参照元:Zhixiang Huang, et al. Lumbar Disc Herniation is a Nonnegligible Factor for the Degeneration of Sacroiliac Joints. Pain Physician. 2021, 24(3).

仙腸関節痛の治療

仙腸関節障害がある場合は、まずは保存療法が行われます。

鎮痛剤を服用したり、サポーターを着用して疼痛を権限させたりします。ブロック注射により痛みを緩和させることもあります。

仙腸関節障害にストレッチやトレーニングも有効です。例えば、ドローイングが効果的です。

1.仰向けに横になり、膝を立てる

2.軽くあごを引いて背骨を長く伸ばす

3.鼻から息を吸い、体を動かさないようにしながら口から息を吐く

4.息を吐く時におへそを背中側に引き込み、さらに胸の方に持ち上げるように意識する

5.吸った時も、できるだけお腹をぽっこり出さないように気をつけて呼吸を胸で行う

※10回目安にして行いましょう。

非常に稀ではありますが、保存療法で改善がなく、強い症状が続く場合は、仙腸関節固定術が行われ、仙腸関節の動きを止めることもあります。

当院の治療

前述したように、仙腸関節障害に椎間板ヘルニアが関係しているとされています。椎間板ヘルニアを治療することにより、仙腸関節障害も防げると考えられます。

椎間板ヘルニアは椎間板に亀裂が生じることから始まります。

当院のセルゲル法では、椎間板のひび割れ部分を埋める薬剤を注射し、それがゲル状になってひび割れを補綴するため、根本的な治療を行うことができます。椎間板のボリュームが減少することがなく、治療後に薬剤がゲル状のインプラントとして椎間板に残りますので、椎間板が温存されることが特徴です。

腰痛でお悩みの方は、一度当院での診察を受けることをご検討ください。

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