近年は背筋や腹筋を中心とした体幹筋に着目が集まっています。
体幹筋は背骨を支える上で重要であり、体幹筋機能の低下は腰痛や腰椎機能の低下、脊柱バランス不良、更にはQOL低下につながることが予想されます。
ですがこれまでに体幹筋量と腰椎機能や脊柱バランスとの関連を調査した報告はなく、体幹筋量と腰痛の明らかな関係を証明した文献はありませんでした。
近年の研究で体幹筋量が腰痛による生活障害度(ODI)と有意な関連を示し、体幹筋量が減少するにつれ腰痛により日常生活が悪化することが証明されました。
同様に体幹筋量が少ないほど、腰痛(VAS)、脊柱後弯(SVA)、健康関連QOL(EQ5D)も悪化していたようです。
この結果より、脊椎病態において体幹筋量は重要な因子であり、QOLとも関連していることが判明しました。
大規模データを用いて簡便に測定可能な体幹筋量の臨床的意義を解明した研究は世界で初めてです。
もちろん体幹筋量だけが原因ではないと思いますが、それだけ私たち人間の生活を支えているということです。
体幹筋を鍛えると言っても使えるようにすることが1番現実的です。
座ってる姿勢、立ってる姿勢これらを中心に小さな動きから習得していきましょう。
座り方、立ち方は今度お伝えしますが、まずは意識からはじめましょう。
1 足を組んでいませんか?
2 浅く座り過ぎていませんか?
3 途中で立ったり座ったりせずに長時間同じ姿勢が続いていませんか?
4 猫背になっていませんか?
ふとした時に背伸びをしたり、肩甲骨を寄せたり、肩を回してみてください。
セルゲル法は椎間板の修復効果があり再発率が極めて低くなってはおりますが、日々の姿勢などを見直し予防していただく事によって更に再発率を低くできるよう心がけていただく事が、とても大切です。
※1 ODI (Oswestry Disability Index)…患者立脚型の腰痛疾患に対する疾患特異的評価法。腰痛が日常生活に与える影響を評価している。
※2 VAS (Visual Analog Scale) …痛みの程度を本人に直接表現してもらう方法。
※3 SVA (sagittal vertical axis)…第7頚椎から引いた垂線と仙骨後上縁との距離。腰曲がりによって第7頚椎垂線が前方にシフトしてくると腰背部の疲労により長時間の立位や歩行が困難となるといわれている。
※4 EQ5D (Euro QOL 5 dimension)…欧州で開発された、健康関連 QOLの尺度として幅広く用いられている調査表。
European Spine Journalより引用
ILC国際腰痛クリニック東京
この記事の執筆者:理事長 吉田直樹