脊柱管狭窄症の保存療法には何がある?運動・薬・注射の違いとは
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脊柱管狭窄症は、椎間板ヘルニアと共に、最も多い脊椎疾患です。
脊柱管狭窄症は腰痛だけでなく、下肢の痛みとしびれの症状、間欠性跛行(歩いていると臀部や足に痛みが発生して、休むと楽となるが、また歩くと再び痛くなる)もあり、日常生活に支障が出てしまいます。
今回は脊柱管狭窄症の保存療法に関して解説します。
脊柱管狭窄症とは
脊柱管狭窄症とは、脊柱管(背骨の中の脊髄の通り路)または椎間孔(末梢神経の通り路)が異常に狭い状態により、脊髄または神経根が圧迫されている状態のことをいいます。

症状
主な症状は、腰の痛み、お尻や足のしびれ、間欠性跛行(歩くと痛くなり休むと再び歩けるようになる、を繰り返す)、力が入りにくいなどです。
症状は一般的に徐々に発症し、重度の場合には、尿失禁、便失禁、性機能障害などもあります。また筋力低下などが出現し、歩行困難になることもあります。
原因
脊柱管狭窄症の原因は一般的に、腰回りの作業の繰り返しや肥満により背骨に負担がかかり、変形や黄色靭帯と呼ばれる背骨の靭帯が肥厚し神経を圧迫することとされています。
知らず知らずのうちに進行し、気付いた時には脊柱管狭窄症になっている場合も多いです。
脊柱管狭窄症の治療
脊柱管狭窄症と診断されたら、まずは症状の改善を図るために保存療法が行われます。
薬物療法
腰や下肢の症状が強い場合は、消炎鎮痛薬が内服されます。
プロスタグランジンなど神経の血流を改善させる薬剤の服用でも、痛みやしびれを和らげることができます。
症状に応じて、内服だけでなく、注射や点滴も行われることがあります。
薬の効果は個人差が大きいですので、自己判断せず、専門医・主治医と相談しておきましょう。
神経ブロック
痛みの原因となっている神経の近くに局所麻酔薬やステロイドを直接注射するケースがあります。
痛みを伝える神経の近くに薬を注入することで、神経痛の信号をブロックして、痛みの伝達を遮断できます。
また、血管が収縮して血流が悪くなったり、筋肉が緊張したりするのを防ぎ、神経の栄養不足や二次的な痛みを解消します。
神経ブロックは即効性が期待できる一方、神経障害などの副作用のリスクもありますので、専門医と相談が必要です。
理学療法
背骨の動きを改善することで、脊柱管狭窄症の症状を緩和できます。
・背骨の動きを良くするための運動
この運動の目的は、身体をしなやかに動かし、骨盤から背骨にかけての動きを改善させることです。
1.両膝を立てて、膝からゆっくりと倒していく
2.倒すときに、膝→骨盤→腰の順に動くように気を付けてください
骨盤から動いてから、腰が動くという感覚にしっかりと意識を向けてください
3.動きを止めないようにゆっくりと連続して2~3分程度行いましょう

・背骨の動きを良くするための運動
この運動の目的は、お腹の力を利用して背骨を動かせるようにすることです。
背骨の動きを良くすることで、立ち上がりや歩行などの際に生じる腰の負担を和らげることができます。
1.おへその下に手を当てる
2.鼻から息を吐きながら手を当てているところを凹ませる
3.手を当てたところを凹ませながら、背中を浮かさずにお尻だけを浮かせてください
4.お尻を浮かせたら、ゆっくりと下ろす
5.お尻を浮かせるときに骨盤から腰椎(腰の背骨)が動いていることに意識を向けて行いましょう

当院の治療
当院は、脊柱管狭窄症に対してフローレンス法・Qフローレンス法とセルゲル法を行っております。
フローレンス法・Qフローレンス法は、脊柱管狭窄症に対して行える、リスクの少ない低侵襲治療です。
部分麻酔と鎮静下で経皮的にデバイスを挿入して、狭くなった脊柱管を広げます。治療後は取り外しなども可能です。
デバイスを入れることで脊柱の回旋や屈曲を維持しながら、椎体の安定化を図り、脊柱管を広げて、椎間板の突出を抑えて黄色靭帯肥厚を軽減できます。狭くなっていた脊柱管が広がることにより、痛みが解消されます。
保存治療で改善せず、脊椎固定術等の全身麻酔で行われる外科的手術を避けたい患者様にお勧めしています。
脊柱管狭窄症は、椎間板がひび割れることで中心成分が飛び出し、その飛び出した部分が脊柱管を狭くすることで起こります。椎間板のひび割れは修復できていなければ、再度ヘルニアが発生したり、再度脊柱管が狭くなったりしてしまう可能性があります。
当院のセルゲル法では、椎間板のひび割れ部分を埋める薬剤を注射し、それがゲル状になってひび割れを補綴するため、根本的な治療を行うことができます。椎間板のボリュームが減少することがなく、治療後に薬剤がゲル状のインプラントとして椎間板に残りますので、椎間板が温存されることが特徴です。
また、当院は腰痛に特化したリハビリも実施しており、様々な腰痛、幅広い年齢層の腰痛に対応できます。
脊柱管狭窄症でお悩みのある方は、是非一度当院での診察を受けることをご検討ください。