無負荷・直立位の条件で行う作業する際に脊椎を安定させるために働く腹筋の活動量は、最大活動量のわずか2~3%程度であったと報告されており、脊椎を安定させるためには強い筋肉は不必要ということは分かっています。この報告から腹筋のトレーニングの有用性を考えると、腹筋を強化させるために行う上体起こし運動は脊椎を安定させるためのトレーニングでは無いということが分かります。上体起こし運動で最も働く筋肉は腹直筋と呼ばれる筋肉で、主に身体を起こしたりするときに働きます。脊椎の安定性を確保するためには脊椎の回旋運動や微妙な運動のコントロールが必要となります。腹直筋はこれらの運動のコントロールにはほぼ関与していないと言われています。したがって上体起こし運動は脊椎を安定させる筋肉を鍛えることができず、むしろ腹直筋が硬くなり姿勢が悪くなるというデメリットがあるので脊椎を安定させる運動として推奨は出来ません。
治療症例紹介・コラム