良い座り姿勢の定義は特になく、一般的には身体に負担が少ない姿勢と言われています。誤った姿勢を良い姿勢と認識している方が多いので、腰痛専門の機関としてこの辺りをもう少し過去の研究報告を合わせて具体的に説明をさせて頂きます。 身体を支えるために、椎間板や関節・靭帯などといった非収縮性組織と言われるものと、筋肉が働きます。椎間板は荷重を受け、分散させるとう負荷を受けることに特化した構造をしています。その為、座っている時は椎間板に多くの荷重を加えて座っています。一方で筋肉は椎間板にかかる荷重が適切な量になるように姿勢をコントロールするためや、身体が重力によって押さえつけられていることに対して押し返す力を働かせています。これらの身体を支えるための機能は身体の場所によってどちらかが多く働き、片方は少しだけ働いていたりします。 今回、説明をさせて頂く研究では3種類の座り方で筋の働きで特徴があったと報告があります。その3種類の座り方と特徴は以下の通りです。 A:胸椎(胸の高さの背骨)を伸ばすように意識した姿勢 胸椎(胸の高さ)の脊柱起立筋(背筋)の活動が高く、腰部の多裂筋(腰の背筋)の活動は少ない B:脱力した座り方 体幹の筋肉の活動が極めて少なく、椎間板への負荷が高い C:骨盤を意識的に起こした座り方 腰部の多裂筋(腰の背筋)の活動量が多い これらの座り方で最も腰に優しい姿勢は『A』です。 Aは胸椎を上に引き上げる意識をしているので、胸椎部の脊柱起立筋の働きにより腰の筋肉の活動は最低限で済みます。これにより筋・筋膜性腰痛を予防することが出来ます。 他の座り方は・・・ Bは椎間板への過負荷です。このような姿勢を長時間とると、椎間板変性を引き起こすリスクが高くなります。 Cは腰の筋肉を使いすぎる為、筋・筋膜性腰痛を引き起こす可能性があります。 『A』のような座り方を意識するためには、腰が反らないように頭頂部を天井に近づけるようなイメージで座ってみてください。 ILC国際腰痛クリニック東京
治療症例紹介・コラム