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すべり症と骨粗鬆症の関係とは?女性に多い理由と注意点

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すべり症は、腰部椎間板ヘルニア、腰部脊柱管狭窄症と並び、脊椎疾患で最も多い疾患とされています。

今回はすべり症と骨粗鬆症の関係について解説します。

すべり症とは

腰椎すべり症とは、腰の部分で椎骨が正常な位置からずれた状態をいいます。

すべり症は骨が前方にすべる「前方すべり」と後方にすべる「後方すべり」があります。

最近の研究では椎間板変性がすべり症を引き起こす要因とされております(*1)。

日常生活の負荷で、また加齢とともに椎間板などが変性していき、椎間板変性が進めば進むほど椎間関節や椎体も変性してしまい、その結果、腰椎が正常な位置からずれてしまいます。

*1 参照元:I. Akkawi, H. Zmerly. Degenerative Spondylolisthesis: A Narrative Review. Acta Biomedica, vol. 92, No.6, 2021.

すべり症の症状

腰椎すべり症の主な症状は、腰痛、臀部や下肢の痛みとしびれですが、軽度のすべり症では無症状であることもあります。

すべり症のよくある症状の一つは、歩行中に現れる臀部や下肢のしびれ・痛みです。これは間欠性跛行といいます。その特徴は、歩行中に痛みで歩けなくなるが、少し休憩をすると再び歩けるようになることです。

骨粗鬆症とは

骨粗鬆症は「こつそしょうしょう」と読み、骨量(骨密度)が減少し、骨がスポンジのようになることにより、骨がもろくなり、骨折が起きやすい状態をいいます。

骨粗鬆症の主な原因として、ホルモンバランスの変化が挙げられています。特に閉経後の女性は、骨の形成を促進する役割がある、エストロゲンという女性ホルモンの分泌が少なくなっていき、骨がもろくなりやすくなります。そのため、骨粗鬆症の罹患率は高齢の女性に多いです。

骨粗鬆症の症状

発症初期はほとんどの場合に症状がありません。骨粗鬆症が進行してはじめて症状が現れることが多いです。

骨がもろくなると、ちょっとしたこと(重い物を持ち上げた、勢いよく座った、くしゃみをした、など)でも骨折になってしまいます。

背骨が骨折した場合に、折れたという自覚がないこともあり、次に次に椎体がつぶれていくこともあります。

身長が3㎝以上縮んだら骨折している可能性があります。立ち上がる時に背中や腰が痛んでいる、腰が曲がってきているという症状があれば、骨粗鬆症による骨折を疑えます。

すべり症と骨粗鬆症の関係

すべり症と骨粗鬆症は相互関係にあります。

すべり症による腰痛や運動制限は、活動量の低下を招き、骨粗鬆症を悪化させる原因になります。

他方、骨粗鬆症により骨がもろくなると、椎体がずれやすくなり、すべり症になりやすくなります。また、骨粗鬆症による椎体骨折は、すべり症を誘発する可能性もあります。

すべり症と骨粗鬆症が併発している方も少なくありません。両疾患が併発すると、腰痛や下肢のしびれ、歩行困難などの症状が悪化し、日常生活に大きな影響を及ぼしてしまいます。

複合的な治療が大事

すべり症と診断されたら、すべりが進行しないためには複合的な治療を行うことが大事です。

当院の治療では様々なアプローチをしながら、腰痛を改善して、患者のQOL(生活の質)の向上と健康寿命の延伸を目指しています。

セルゲル法

前述したように、すべり症の原因は椎間板変性にあるとされております。そのため、変性してしまった椎間板を修復して、すべり症の予防や進行を防ぐことが可能です。

当院のセルゲル法では、椎間板のひび割れ部分を埋める薬剤を注射し、それがゲル状になってひび割れを補綴するため、根本的な治療を行うことができます。椎間板のボリュームが減少することがなく、治療後に薬剤がゲル状のインプラントとして椎間板に残りますので、椎間板が温存されることが特徴です。

セルゲル法は、従来の手術と違い、切開をしない治療ですので、術後のリスクも少ないです。

入院期間は半日のみで、治療当日に歩いてご帰宅できます。

フローレンス法・Qフローレンス法

脊柱管狭窄症に対してはフローレンス法・Qフローレンス法を行っています。

フローレンス法とQフローレンス法は、脊柱管狭窄症に対して行える、リスクの少ない低侵襲治療です。

部分麻酔と鎮静下で経皮的にデバイスを挿入して、狭くなった脊柱管を広げます。

デバイスを入れることで脊柱の回旋や屈曲を維持しながら、椎体の安定化を図り、脊柱管を広げて、椎間板の突出を抑えて黄色靭帯肥厚を軽減できます。狭くなっていた脊柱管が広がることにより、痛みが解消されます。

フローレンス法及びQフローレンス法は、低侵襲でリスクの少ない治療であるため、治療後の合併症や症状の再発に関する報告がありません。

治療後のサポート

当院の各治療法と連携して、全体的な治療の有効率を高めるために、普段の動きを見直し、生活習慣等を改善していきながら、総合的に痛みなどを徹底的に取り除くことを目指しています。

すべり症と診断されたことのある方は、是非一度当院での診察を受けることをご検討ください。

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