脊柱管狭窄症とは?
脊柱管狭窄症とは、背骨が脊髄を守るように通っているトンネルを脊柱管といいますが、それが様々な要因によって圧迫され、狭くなっている(狭窄している)状態を言います。
下記の画像を見て頂けますと、背骨や脊柱管の構造や脊柱管狭窄症についてよりイメージを持って頂けやすくなると思います。
脊柱管狭窄症を疑うべき症状について
脊柱管狭窄症になると最もよく現れる症状は2つです
①間欠性跛行(かんけつせいはこう)
歩行しているうちに徐々に足がだるくなったり、しびれたり、力が入らなくなって歩けなくなるのですが、しばらく休むとまた歩けるようになるのが特徴です。腰を屈めて歩けば、比較的長く歩けるようになることも特徴的です。
②坐骨神経痛(ざこつしんけいつう)
腰から下のお尻や太ももに症状が現れる事が多く、ふくらはぎ・足先などに鋭く電気が走ったような痛み・痺れ、ふくらはぎの張り、冷感・灼熱感、足のだるさなどが特徴です。
中高年の方に多く見られる腰痛の症状です。ひどくなると痛みで歩けない、いすから立ち上がることができない、といった状態になることもあります。
このような症状が出ている場合には脊柱管狭窄症の可能性がありますので、医療機関にて診断を受けることをお勧め致します。
脊柱管狭窄症の原因について
医学的に言えば、主な要因は以下の3つとなります。
- 変形し飛び出した椎間板による脊柱管の圧迫
- 背骨が変形し棘となって脊柱管を圧迫
- 黄色靭帯が肥厚し脊柱管を圧迫
分かりやすくそれぞれ示したのが下記の画像となります。
このように脊髄の神経が圧迫されることで、しびれや痛みが発生します。
また、同時に下記のようなメカニズムが発生している可能性もあります。
- 変性した椎間板の髄核成分が脊髄と触れることで、炎症が発生している
- 背骨のゆがみを支えようと椎間関節に負担がかかり、椎間関節に炎症が発生している
- 背骨のゆがみを支えようと背中の筋膜や筋肉に負担がかかり、炎症が発生している
脊柱管狭窄症の診断について
上の脊柱管狭窄症の原因で記載した現象は全てMRI画像で出ますので、MRIを撮って頂ければ診断が可能です。CTやレントゲンは骨の状態を見ることに優れていますが、MRIは椎間板のような軟骨組織や炎症を見ることに優れております。
もちろんじっくりと問診を行い、患者様に発生している症状や痛みしびれについてヒアリングさせて頂くことは大前提として大切になります。
脊柱管狭窄症の改善法について
大きく分けますと4つの改善法があります。
それぞれについて簡単に説明致しますので、ご参考になさってください
1.保存療法
どの医療機関でも最初に提案される治療です。具体的には、下記のようなものがあげられます。
- 運動療法(リハビリテーション)
- 神経ブロック
- 薬物療法
- コルセットなどを装着する装具療法
- 温熱療法
それぞれの治療についての詳細や当院としての見解はまた別のコラムでお話したいと思います。
2.手術
保存療法を3ヶ月~半年かけても良くならなかった場合に、患者様の病状が手術で改善が見込まれる場合に提案されることが多いと思います。
脊柱管狭窄症の手術法としては下記のようなものがあります。
【椎弓形成術】
- 腰椎椎弓形成術
- 腰椎棘突起縦割式椎弓切除術
- 内視鏡下腰椎椎弓切除術
- 完全内視鏡下腰椎椎椎弓切除術
【固定術】
- 低侵襲経椎間孔的椎体間固定術
- 低侵襲脊椎側方固定術
- 腰椎後方椎体間固定術
- 内視鏡下腰椎椎体間固定術
【脊柱管拡大術】
- 内視鏡下脊柱管拡大術
- 経皮的内視鏡下脊柱管拡大術
手術のメリットは、物理的に原因となっている箇所を取ったり固定したりするため、短期的には症状が改善する確率は高いです。
しかしながら脊柱管狭窄症の根本原因は椎間板の損傷のため、脊柱管を圧迫している変形した椎間板を取ったりケージと呼ばれる椎間板とは全く別のものを入れることしかできない手術では、長期的にみたときに再発の可能性は高いと当院は考えています。
3.先進医療
脊柱管狭窄症の根本原因である椎間板を修復・再生させる治療法
■セルゲル法
セルゲル法は日本では当院(ILC国際腰椎クリニック東京)が先駆けて導入・提供している先進的な腰痛治療法です。
セルゲル法の詳細ページのリンクはこちら↓
https://ilclinic.or.jp/treatment/cellgell
4.その他の治療法
一定の効果はあると言われていますが、医学的なエビデンスは薄い治療法です
- マッサージ
- カイロプラクティック
- 鍼灸
この記事の執筆者:院長 簑輪忠明