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腰の治療症例紹介・コラム

腰痛と運動の関係:効果的な運動方法とは

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日本の腰痛人口は、約2800万人と推測されています。

厚労省の国民生活基礎調査においては、男女ともに腰痛の有訴率が最も多いとの報告があり、腰痛は「国民病」と言われています。また、80%近くが生涯のうちに一度は腰痛を経験するとされています。

厚生労働省「2022(令和4)年 国民生活基礎調査の概況」より
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa22/dl/14.pdf

多くの人が腰を痛めてしまう背景には、日常生活の過ごし方が関係すると言えます。

今回は、運動と腰痛に関して解説します。

腰痛に対する運動療法

腰痛診療ガイドライン2019によると、慢性腰痛に対する運動療法は、関節可動域や疼痛、健康状態、体力や筋力向上に効果があるとされています。*1

毎日、継続的に運動を取り組むことで、症状の軽減や生活の質の改善に繋がります。正しい運動方法を知り、注意点をきちんと押さえておくことで、身体に負担なく腰痛体操を行うことができます。

*1 日本整形外科学会診療ガイドライン委員会・腰痛診療ガイドライン策定委員会編『腰痛診療ガイドライン2019』改定第2版、南江堂、2020年。

座ってできる運動

体幹の運動

1.軽く背筋を伸ばして座ります。

※腰に力が入りすぎないように注意しましょう。

2.骨盤が起きている姿勢(写真①)から、ゆっくりと背の姿勢(写真②)に動かしてみましょう。

3.10回程度、繰り返します。

※痛みが出ないように注意しましょう。

【ポイント】骨盤から背中全体が動いている事を感じながら、丁寧に動かしましょう。

足首の運動

1.軽く楽に座った姿勢を取ります。

2.踵を上げて、次につま先を上げる動きを10回程度、繰り返します。

【ポイント】力を入れすぎないように、足首を軽く動かせましょう。

肩甲骨の運動

1.軽く楽に座った姿勢を取ります。

2.両腕を後ろで組んで、腕を上に引き上げるように動かします。

3.両方の肩甲骨が内側に寄るのを感じながら、10回程度繰り返します。

【ポイント】腕を無理に引き上げようとすると、肩を痛めてしまう可能性がありますので、気を付けましょう。

立ち座り運動

1.軽く楽に座った姿勢をとります。(写真①)

2.腰の前に手を当てて(写真②)、骨盤の骨が前の方に動いていくのを感じながら、ゆっくりと身体全体を前に倒していきます。

3.上半身の体重がきちんと足の上に乗ったところでお尻を持ち上げていきます。(写真③)

4.足全体がしっかり伸びるのを感じながら、身体を起こしていきます。(写真④)

立ち座りを、3~10回繰り返していきます。※痛みや疲労感が出ないように気をつけましょう。

【ポイント】上半身の重心がしっかりと足の上に乗ることが大切です。

運動時の注意点

症状が強くなるような運動やストレッチは積極的に行わない

痛みやしびれなどの症状が出ない程度に、ゆっくりと丁寧に取り組むことを心がけましょう。

翌日に疲労が残らない程度にとどめておく

セルフケアとしては、継続することが大切です。翌日に疲労が残らないように注意しながら取り組みましょう。

毎日継続して行う

毎日継続することで徐々に身体に変化が出てきます。時間を見つけて取り組んでみたり、お風呂に入った後にやってみたり、生活の中で「運動習慣」ができると続けやすいです。自分のライフスタイルや性格に合わせた運動方法を取りいれていきましょう。

頑張りすぎない

3日坊主になってしまっては、せっかく運動をはじめてみても、身体の機能は変化しません。意気込みすぎず、頑張りすぎず、継続できるように運動をやっていきましょう。

運動の頻度と強度

運動は、毎日の朝・夜に取り組みましょう。可能であれば、朝・昼・夜もありです。

朝は身体が一番硬く症状が出やすいです。身体を動かして「動く」スイッチをオンにしましょう。夜は身体が疲労していて、身体を少しほぐして「休む」スイッチをオンにしましょう。

また、夜から副交感神経の働きが高くなる時間帯ですので、夕方以降の頑張りすぎは禁物です。疲労感が出ない簡単な運動にとどめておきましょう。

運動をやった後に軽い疲労感が出る程度で取り組んでみましょう。翌日に疲れが出ない程度を1つの目安です。

運動は、継続することがとても大事です。頑張りすぎず、無理なく、自分のペースで継続していくことで、身体が良い方向へと変化していきます。

腰痛でお悩みの方は、一度当院での診察を受けることをご検討ください。

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