脊柱管狭窄症に多い歩行障害
カテゴリー:
背骨の中にある神経の通り道(=脊柱管)が狭くなった状態は、脊柱管狭窄症といいます。
その治療は、保存療法もあれば、手術もあります。
今回は脊柱管狭窄症の症状の一つである歩行障害について解説します。

脊柱管狭窄症とは
脊柱管狭窄症とは、神経の通り道である脊柱管が狭窄する(=狭くなる)ことにより、神経が圧迫される状態です。腰椎が不安定なことが原因の場合、身体の動きで痛くなることが多いです。

脊柱管狭窄症の特徴的な症状:間欠性跛行
腰椎の脊柱管狭窄症では、腰から下のしびれや痛みが出現します。歩いているとお尻や足に痛みやしびれが生じ、休むと楽になるが、また歩くと再び痛みが出るといった、間欠性跛行という症状が特徴的です。
間欠性跛行の特徴としては、背筋を伸ばして立ったり歩いたりする時に痛みやしびれが強く出て歩けなくなることが挙げられます。
杖や押し車等につかまって少し前屈みになった姿勢では症状が楽になります。また、自転車こぎは症状が出にくいです。
脊柱管狭窄症が進行すればするほど、歩ける距離が短くなります。歩けなくなってくると、足の脱力感や筋力低下にもつながり、病態がさらに悪化してしまいます。
間欠性跛行の対策
脊柱管狭窄症の歩行障害の対策は、日常生活での姿勢や動作の改善が重要です。
歩き方と姿勢の工夫
腰を反らせると神経の圧迫が強まりますので、お腹を上に伸ばすような意識で、軽く前かがみになって歩くと楽になります。
杖などを使うことで、腰を少しかがめて歩くと、痛みが和らぎます。
こまめに、痛くなってしまう前に休憩を取ることも大事です。
運動療法
無理のない範囲で、ウォーキング、水泳、サイクリングなどの運動はおすすめです。
また、体幹筋力トレーニング・ストレッチも有効的です。
◎腸腰筋ストレッチ
股関節の前の筋肉を伸ばします。この筋肉が固くなることで骨盤が前傾し、反り腰になり、反り腰になることで腰痛が悪化しやすくなります。
①膝立ちの姿勢になります
②左脚を立てます
③お尻を前方に移動します
④右の股関節の前側が伸ばされている感じを感じます
⑤脚を入れ替えて同じ動作を繰り返します

◎クワッド・ストレッチ
太ももの前の筋肉を伸ばします。この筋肉が固くなることで骨盤が前傾し、反り腰になりやすくなり、それで腰痛が悪化しやすくなります。
①うつぶせの姿勢になります
②右膝を曲げます
③右手で足を掴みます
④太ももの伸びを感じます
⑤脚を入れ替えて同じ動作を繰り返します

ストレッチは痛みのない程度で実施しましょう。
基本的には毎日行うこと、また継続して行うことが大事です。毎日、無理なく継続することで、症状の改善に繋がります。
日常生活の注意点
腰を反らせると神経が圧迫されて症状が強く出てしまいますので、日ごろから姿勢に気をつけましょう。座る時もクッションなどを活用して楽な姿勢を保ち、寝る時も膝を曲げて反り腰の姿勢を避けましょう。
症状が強くなったり、病状が進行したりする前には、専門医と相談して適切な診断と治療法を受けることも大事です。
当院の治療
当院は、脊柱管狭窄症に対してフローレンス法・Qフローレンス法とセルゲル法を行っております。
フローレンス法・Qフローレンス法は、脊柱管狭窄症に対して行える、リスクの少ない低侵襲治療です。
部分麻酔と鎮静下で経皮的にデバイスを挿入して、狭くなった脊柱管を広げます。治療後は取り外しなども可能です。
デバイスを入れることで脊柱の回旋や屈曲を維持しながら、椎体の安定化を図り、脊柱管を広げて、椎間板の突出を抑えて黄色靭帯肥厚を軽減できます。狭くなっていた脊柱管が広がることにより、痛みが解消されます。
保存治療で改善せず、脊椎固定術等の全身麻酔で行われる外科的手術を避けたい患者様にお勧めしています。
脊柱管狭窄症は、椎間板がひび割れることで中心成分が飛び出し、その飛び出した部分が脊柱管を狭くすることで起こります。椎間板のひび割れは修復できていなければ、再度ヘルニアが発生したり、再度脊柱管が狭くなったりしてしまう可能性があります。
当院のセルゲル法では、椎間板のひび割れ部分を埋める薬剤を注射し、それがゲル状になってひび割れを補綴するため、根本的な治療を行うことができます。椎間板のボリュームが減少することがなく、治療後に薬剤がゲル状のインプラントとして椎間板に残りますので、椎間板が温存されることが特徴です。
また、当院は腰痛に特化したリハビリも実施しており、様々な腰痛、幅広い年齢層の腰痛に対応できます。
脊柱管狭窄症でお悩みのある方は、是非一度当院での診察を受けることをご検討ください。