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腰の治療症例紹介・コラム

脊柱管狭窄症の再発はある?術後の生活とリスク管理を徹底解説

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脊柱管狭窄症は、椎間板ヘルニアと共に、最も多い脊椎疾患です。

脊柱管狭窄症は腰痛だけでなく、下肢の痛みとしびれの症状、間欠性跛行(歩いていると臀部や足に痛みが発生して、休むと楽となるが、また歩くと再び痛くなる)もあり、日常生活に支障が出てしまいます。

今回は脊柱管狭窄症の手術とその後のリハビリに関して解説します。

脊柱管狭窄症とは

脊柱管狭窄症とは、背骨の中にある神経の通り道(=脊柱管)が狭くなった状態です。

脊柱管の狭窄は、脊椎のどの部分にも起こり得ますが、最も発症頻度が高いのは腰(腰部脊柱管狭窄症)にです。50歳以上に好発し、男性に多い傾向があります。

脊柱管狭窄症の症状

脊柱管が狭くなり、神経が圧迫されると、腰や下肢の痛み、しびれ、脱力などの症状が発生します。

右側だけに症状がある場合は右側の神経根が圧迫され、左側に症状がある場合は左側の神経根が圧迫されているのです。体の両側に症状がある場合は、馬尾神経が圧迫されていると言えます。

脊柱管狭窄症の典型的な症状で、間欠性跛行があります。歩いている内に下肢がしびれたり力が入らなくなったりして、歩けなくなるが、しゃがみこんだり腰かけたりして少し休むとまた歩けるようになることです。

狭窄症が進行すればするほど、歩ける距離が短くなります。

脊柱管狭窄症の治療外科的手術

脊柱管狭窄症の手術は、腰椎椎弓切除術と脊椎固定術が一般的です。

腰椎椎弓切除術は全身麻酔にて、内視鏡を使用して行われ、背部の皮膚を切開し、椎弓の一部や肥厚した黄色靭帯を切除することにより神経の圧迫を取り除き、脊柱管を広げます。

脊椎固定術は全身麻酔にて、背部の皮膚を切開し、変性した椎間板を取り除いて、腰骨から採取した骨を詰めたケージを入れて、脊椎をスクリューとロッドで椎骨を固定します。腰椎椎弓切除術の後に行われる場合もあります。

外科的手術の再発率

脊柱管狭窄症に対して一度外科的手術(除圧術や固定術)が行われたら、その後に脊柱管が再び狭くなり、症状が再発することが少なくありません。その場合は高い割合(10%~23%)で再手術が必要とされます。*1

初回手術直後に無理な動きをすると、再手術のリスクが高まります。術後は不安定性が生じることも多く、椎間関節が変性したり、すべり症になったりすることもあります。その場合の再手術は固定術となります。

*1 参照元:Atlas SJ, et al. Long-term outcomes of surgical and nonsurgical management of lumbar spine stenosis: 8 to 10 year results from the maine lumbar spine study. Spine, 2005, 30(8). Kim CH, et al. Reoperation rate after surgery for lumbar spinal stenosis without spondylolisthesis: a nationwide cohort study. Spine Journal, 2013, vol.13-10.

外科的手術後の過ごし方

脊椎の外科的手術の場合は、入院期間が必要です。早ければ1週間で、場合によっては2週間の入院が必要です。手術箇所が多ければ多いほど、入院期間が長くなります。

手術翌日から、ベッドから起き上がり、座るなどの動きの確認から始まり、術後経過が良ければ歩行練習や日常的な動作などになります。

術後の最初の2週間程度はコルセットを装着した上で簡単な動作の練習となります。

手術2週間後からは、デスクワークや車の運転ができるようになります。

重労働は手術して2か月後にならないと厳しく、また自転車乗りや走る動作は手術3か月後から始めて良いです。

スポーツも、体をぶつけたり転んだりするような激しいスポーツ以外は術後3か月後からしていただいて大丈夫です。

脊柱管狭窄症の低侵襲施術:フローレンス法・Qフローレンス法

脊柱管狭窄症に対してはフローレンス法・Qフローレンス法も行われています。

フローレンス法とQフローレンス法は、脊柱管狭窄症に対して行える、リスクの少ない低侵襲治療です。

部分麻酔と鎮静下で経皮的にデバイスを挿入して、狭くなった脊柱管を広げます。

デバイスを入れることで脊柱の回旋や屈曲を維持しながら、椎体の安定化を図り、脊柱管を広げて、椎間板の突出を抑えて黄色靭帯肥厚を軽減できます。狭くなっていた脊柱管が広がることにより、痛みが解消されます。

低侵襲施術の再発率

フローレンス法・Qフローレンス法は、低侵襲でリスクの少ない治療であるため、治療後の合併症や症状の再発に関する報告がありません。

低侵襲施術後の過ごし方

治療当日に、帰宅できます。

治療翌日からは腰に負担のかかる動作に気を付けながら軽動作をして日常生活を過ごすことが可能です。

治療7日後からは軽い運動を始めます。

ヨガは治療14日後からやっても良く、ゴルフやスポーツや重労働は1ヶ月程度見合わせる必要があります。

脊柱管狭窄症の予防

脊柱管狭窄症にならないために、現在脊柱管狭窄症と診断を受けている場合は今後これ以上進行させないために、理学療法が有効です。

◎背骨の動きを良くするための運動

この運動の目的は、身体をしなやかに動かし、骨盤から背骨にかけての動きを改善させることです。

1.両膝を立てて、膝からゆっくりと倒していく

2.倒すときに、膝→骨盤→腰の順に動くように気を付けてください

骨盤から動いてから、腰が動くという感覚にしっかりと意識を向けてください

3.動きを止めないようにゆっくりと連続して2~3分程度行いましょう

◎背骨の動きを良くするための運動

この運動の目的は、お腹の力を利用して背骨を動かせるようにすることです。

背骨の動きを良くすることで、立ち上がりや歩行などの際に生じる腰の負担を和らげることができます。

1.おへその下に手を当てる

2.鼻から息を吐きながら手を当てているところを凹ませる

3.手を当てたところを凹ませながら、背中を浮かさずにお尻だけを浮かせてください

4.お尻を浮かせたら、ゆっくりと下ろす

5.お尻を浮かせるときに骨盤から腰椎(腰の背骨)が動いていることに意識を向けて行いましょう

当院は腰痛に特化したリハビリも実施しております。

脊柱管狭窄症でお悩みのある方は、是非一度当院での診察を受けることをご検討ください。

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