治療症例紹介・コラム

Colum フローレンス法とセルゲル法、どちらが良いの?

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誰もが経験したことのある腰痛。

腰痛と言っても、その種類や原因は様々です。

当院は脊柱管狭窄症、椎間板へルニア等の様々な脊椎疾患に対して、低侵襲且つ日帰り可能な治療を提供しております。また、当院では長年の研究・論文と実際の治療実績において医学的な根拠と有効性が確認できている治療に限定し提供しております。

今回は当院で行われているセルゲル法とフローレンス法について解説します。

セルゲル法とは

セルゲル法は、欧州を中心に世界の様々な国で導入されている腰痛と頚部痛の治療法です。

他の治療法のように、椎間板のボリュームが減少することがなく、治療後に薬剤がゲル状のインプラントとして椎間板に残るので、椎間板を温存することが可能です。最近の研究では治療後に椎間板の容積が増加していることもわかってきております。

また、椎間板を修復し髄核の漏れが防がれることによって、椎間板自体が自身の再生能力によって元の正常な機能を回復すると考えられています。

セルゲル法のメリット

加齢や損傷などにより椎間板が本来の形を保てなくなり変性していきます。それで椎間板の機能が低下し、痛みなどの症状が生じます。変性が進むと、椎間板内にある髄核が外に飛び出し、椎間板ヘルニアとなり、ヘルニアで脊柱管が圧迫され(脊柱管狭窄症)、脊椎が不安定となり(腰椎不安定症)、ずれてしまう(すべり症)ことがあります。椎間板が潰れてしまうと脊椎同士が衝突しやすくなり、変形性腰椎症・変形性頚椎症となります。椎間板の損傷が原因となる疾患の治療としては、椎間板を修復するセルゲル法が適応できます。

治療時間は20~30分程度で、治療後は約60分安静してから帰宅でき、入院が必要ありません。治療前の診察を含め、すべて1日で終わらせます。

セルゲル法は局所麻酔で行われますので、身体への負担が小さいです。切開もされず、細い針での治療ですので、傷が極小で回復も早いです。外科的手術と比べれば、治療後の合併症がなく、高齢の方でも治療を受けられます。

セルゲル法の対応疾患

セルゲル法は椎間板損傷が原因の腰椎疾患と頸椎疾患に適応されます。それは、椎間板変性症、椎間板ヘルニアなどです。

例えば、以下のような症状があれば、セルゲル法の適応が判断されます。

椎間板がつぶれている、MRIで黒く映っている

腰やお尻が痛い

足に痛みやしびれがある

痛みで長時間立っていられない

椎間板の水分が減ってしまっている

腰やお尻がしびれる、しびれによる痛みがある

痛みで長時間座れない

長い距離を歩くことができない

※セルゲル法が適応しているかどうかの判断は、MRI検査や診察などでされています。

セルゲル法の治療効果

損傷した椎間板の亀裂が修復されると、髄核の漏れがなくなり、新たな炎症も起こさなくなります。炎症が治まると、痛みなどの症状も徐々に消えていきます。また、椎間板が修復されると、椎間板自体が自身の再生能力によって元の正常な機能を回復します。

セルゲル法では、亀裂が補綴され、髄核が漏れなくなるため、症状の改善だけでなく、再発を防ぐことができます。

(M. Bellini, et al. Percutaneous Injection of Radiopaque Gelified Ethanol for the Treatment of Lumbar and Cervical Intervertebral Disk Herniations: Experience and Clinical Outcome in 80 Patients. American Journal of Neuroradiology March 2015, 36 (3)より)

フローレンス法とは

フローレンス法は、先進的な脊柱管狭窄症の治療です。2015年にイタリアで開発されたLobsterスペーサーを使用して、狭くなった脊柱管を広げることを目的にします。

Lobsterスペーサーを入れることで脊柱の回旋や屈曲を維持しながら、椎体の安定化を図り、脊柱管を広げて、椎間板の突出を抑えて黄色靭帯肥厚を軽減できます。狭くなっていた脊柱管が広がることにより、痛み・しびれなどの症状が解消されます。

フローレンス法のメリット

フローレンス法はリスクの少ない低侵襲治療です。従来の外科的手術と違って、骨を削らず、靭帯等を損傷せず温存のままになるため、身体への負担が少ないです。

また、フローレンス法は局所麻酔と鎮静下で行われますので、全身麻酔で行われる手術を受けられない患者様も実施可能です。

治療時間も短く、約30分/1箇所程度で、治療後約2時間は安静にしてから当日帰宅できます。入院が必要ありません。

フローレンス法の対応疾患

フローレンス法は、次のような症状があり、6ヶ月間も持続している場合に適応します。

足や臀部の痛みがある

鼠径部痛がある

腰が痛い

間欠性跛行がある

疾患名で言えば、脊柱管狭窄症、軽度な変性すべり症(グレード1まで)、椎間関節症に適応となります。

※治療適応かどうかの判断は、MRI・レントゲン検査と診察を行った上で判断されます。

フローレンス法の治療効果

脊柱管狭窄症では変性した椎間板や靭帯などが神経を圧迫して、痛みやしびれの症状の原因となります。

フローレンス治療でスペーサーを挿入することで、神経の圧迫が消失して、痛みやしびれ等の症状が改善します。

セルゲル法とフローレンス法はどちらが良い?

セルゲル法もフローレンス法も低侵襲で日帰り可能な治療方法です。

腰痛の原因が様々であるため、症状により、セルゲル法が最適な場合、フローレンス法が最適な場合があります。

どちらの治療法が患者様に合うか、入念な診察と画像検査を踏まえて選定されます。

腰痛でお悩みのある方は、是非一度当院での診察を受けることをご検討ください。

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