すべり症と診断。楽な寝方とは?
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すべり症は、腰部椎間板ヘルニア、腰部脊柱管狭窄症と並び、脊椎疾患で最も多い疾患とされています。
今回は、すべり症になった時の寝方について解説します。
すべり症の症状と原因
腰椎すべり症とは、腰の部分で椎骨が正常な位置からずれた状態をいいます。

すべり症の症状
軽度のすべり症は無症状であることもあり、症状が出現するようになってから検査を受けて、腰椎すべり症が進行してしまっている場合があります。
腰椎すべり症の主な症状は、腰痛、臀部や下肢の痛みとしびれです。症状の出現は、すべりの不安定性の程度、椎間あるいは分離部の変性の程度、神経圧迫の部位や程度などによります。
すべり症の特徴的な症状の一つは、歩行中に現れる臀部や下肢のしびれ・痛みです。少し休憩をすると再び歩けるようになる間欠性跛行があります。
変性すべり症は脊柱管狭窄症を伴うこともあり、下肢痛やしびれ、間欠性跛行、排尿障害などの狭窄症の症状もあります。
すべり症の原因
すべり症は、若いころからスポーツ等をして、加齢とともに椎間板や靭帯・関節などの腰椎を固定している組織が変性を起こし、それに伴って腰椎の安定性が失われることで起こることが多いです。
最近の研究では、椎間板変性がすべり症を引き起こす要因とされております。*1
椎間板が変性することにより、背骨や椎間関節への負担がかかり、骨等が不安定となり、すべり症が引き起こされるのです。
*1 参照元:I. Akkawi, H. Zmerly. Degenerative Spondylolisthesis: A Narrative Review. Acta Biomedica, vol. 92, No.6, 2021.
すべり症になった時の寝方
横向き寝の場合
横向きで寝る際は、身体を少し丸めて、ウエスト部分に折ったタオルを敷くと良いです。これにより、腰椎が支えられ、足腰に負担をかけることなく眠れます。
タオルがずれてしまう場合は、腹巻をして腰のくびれに小さなタオルを入れておきましょう。

仰向け寝の場合
仰向けでの姿勢は腰が反ってしまいますので、すべり症の方は仰向けを避けた方が良いです。どうしても他の寝姿勢が難しいという場合は、ふくらはぎの下や膝下にクッションを置いて膝を立てると良いです。これにより、腰が少し浮いた状態になり、痛みが軽減されます。
寝ているうちにクッションがずれてしまう場合は、敷布団の下に置いておきましょう。

すべり症になった時の寝方の注意点
すべり症で寝返りをする際、動くことで痛みが悪化してしまうことがあります。寝返りをする時は膝と股関節を深く曲げ、少し腹筋に力を入れて上半身と下半身を動かすようにしましょう。このようにすることで痛みが増すことなく、寝返りができるようになります。
すべり症のある方は、うつ伏せで寝ることを避けた方が良いです。うつ伏せで寝る姿勢は腰に負担をかけるリスクが高くなるからです。
腰椎すべり症になっている場合は、柔らかい敷布団やマットレスを避けるようにしましょう。高反発の固いマットレスの方は、身体の沈み込みがなく、背中を支えることもでき、睡眠時に腰への負担が軽減します。
すべり症になったら、根本的な治療も大事
当院は、すべり症に対してフローレンス法・Qフローレンス法を行われています。
フローレンス法とQフローレンス法は、リスクの少ない低侵襲治療です。
部分麻酔と鎮静下で経皮的にデバイスを挿入して、狭くなった脊柱管を広げます。
デバイスを入れることで脊柱の回旋や屈曲を維持しながら、椎体の安定化を図り、脊柱管を広げて、椎間板の突出を抑えて黄色靭帯肥厚を軽減できます。狭くなっていた脊柱管が広がることにより、痛みが解消されます。

すべり症と診断されたことのある方は、是非一度当院での診察を受けることをご検討ください。