すべり症の手術方法を比較
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腰椎変性すべり症は、腰部椎間板ヘルニア、腰部脊柱管狭窄症と並ぶ、頻度の高い疾患です。
今回は、すべり症の手術方法について解説します。
すべり症とは
腰椎すべり症とは、腰の部分で椎骨が正常な位置からずれた状態をいいます。

腰椎すべり症の原因
すべり症は、若いころからスポーツ等をして、加齢とともに椎間板や靭帯・関節などの腰椎を固定している組織が変性を起こし、それに伴って腰椎の安定性が失われることで起こることが多いです。
最近の研究では、椎間板変性がすべり症を引き起こす要因とされております。※1
椎間板が変性することにより、背骨や椎間関節への負担がかかり、骨等が不安定となり、すべり症が引き起こされるのです。
※1 参照元:I. Akkawi, H. Zmerly. Degenerative Spondylolisthesis: A Narrative Review. Acta Biomedica, vol. 92, No.6, 2021.
腰椎すべり症の症状
軽度の腰椎すべり症では無症状であることも多く、症状が出現するようになってから検査を受けて、腰椎すべり症が進行してしまっている場合が少なくありません。
腰椎すべり症の主な症状は、腰痛、臀部や下肢の痛みとしびれです。症状の出現は、すべりの不安定性の程度、椎間あるいは分離部の変性の程度、神経圧迫の部位や程度などによります。
すべり症のよくある症状の一つは、歩行中に現れる臀部や下肢のしびれ・痛みです。少し休憩をすると再び歩けるようになる間欠性跛行が多くみられます。
すべり症の手術
すべり症と診断されたら、まずは保存療法で治療を行います。保存療法で症状が改善せず長期化している場合には、外科手術を提案されます。
すべり症の手術は腰椎固定術や腰椎後方除圧術が一般的となっています。

腰椎後方除圧術
後方除圧術は、全身麻酔にて、腰部に約3cmを切開して、顕微鏡で確認しながら椎弓などを取り除き、神経の通り道を広げていきます。
すべり症に対しては単独で行われる場合もあれば、固定術を併用することもあります。
入院が必要で、除圧術単独の場合は約1週間の期間となります。
腰椎固定術
固定術は、神経を圧迫している部分を切除し、骨を移植して背骨を固定します。
全身麻酔にて、背中を約4~5cm切開し、症状が出ている側の椎間関節を切除して椎間板を摘出し、そこに患者本人の骨や骨バンクからの骨を移植して、上下の椎体とスクリューやロッドなどを使って固定します。
すべった腰椎を固定することで、不安定となっている背骨の安定を図ることができ、さらなるすべりを防ぐことができます。
腰椎固定術は、約2週間の入院が必要で、術後の安静期間も3か月必要です。
手術の方法
すべり症の手術の方法は2種類あります。
一つは、従来の切開手術です。背中を切って椎弓や椎間板を切ったり固定したりして、身体への負担が大きいです。
もう一つは、低侵襲手術(MIS=Minimally Invasive Surgery)です。従来の切開手術と同様に全身麻酔で行われることが多いですが、切開範囲がより小さく、体への負担が少ないです。ただし、すべり症に不安定症も伴われる場合などに適さないことがあります。
当院の治療
セルゲル法
前述したように、最近の研究では椎間板変性がすべり症を引き起こす要因とされております。そのため、変性してしまった椎間板を修復しなければすべりの予防ができないと考えています。当院では、椎間板の変性が原因であるすべり症に対してセルゲル法を行っています。
当院のセルゲル法では、椎間板のひび割れ部分を埋める薬剤を注射し、それがゲル状になってひび割れを補綴するため、根本的な治療を行うことができます。椎間板のボリュームが減少することがなく、治療後に薬剤がゲル状のインプラントとして椎間板に残りますので、椎間板が温存されることが特徴です。
セルゲル法は、従来の手術と違い、切開をしない治療ですので、術後のリスクも少ないです。

フローレンス法・Qフローレンス法
フローレンス法とQフローレンス法は、リスクの少ない低侵襲治療です。
部分麻酔と鎮静下で経皮的にデバイスを挿入して、狭くなった脊柱管を広げます。
デバイスを入れることで脊柱の回旋や屈曲を維持しながら、椎体の安定化を図り、脊柱管を広げて、椎間板の突出を抑えて黄色靭帯肥厚を軽減できます。狭くなっていた脊柱管が広がることにより、痛みが解消されます。

すべり症と診断されたことのある方は、是非一度当院での診察を受けることをご検討ください。
 
            

 
             
             
             
             
            