椎間板ヘルニアはよく知られている脊椎疾患です。腰椎椎間板ヘルニアが発症すると、腰の痛みに臀部の痛み、足の痛みやしびれなどの症状が出て、日常生活に影響を与えてしまいます。
今回は椎間板ヘルニアの症状が起こる原因と改善策に関して説明します。
椎間板ヘルニアとは
椎間板は、中にある髄核と、それを取り囲むような線維輪という組織により形成されています。
遺伝的要因、加齢、日常生活での負担などにより、線維輪に亀裂が生じ、髄核が外に飛び出して、椎間板が損傷してしまいます。このような状態は、椎間板ヘルニアといいます。腰部の椎間板にヘルニアが生じた場合は、腰部椎間板ヘルニアとなります。
椎間板ヘルニアの症状が起こる原因
腰部椎間板ヘルニアの場合は、腰やお尻の痛み、足の痛み・しびれなどの症状が出ます。
しかし、MRI検査で重度のヘルニアと診断されているにもかかわらず痛みがない場合や、軽度のヘルニアでも強い痛みが出てしまう場合があります。
椎間板ヘルニアによる症状は脱出した髄核による物理的な神経圧迫ではなく、脱出した新鮮な髄核による炎症が原因とされています。
炎症は数か月で自然消失します。ヘルニアの部分は、炎症後に自然に吸収されることもあれば、残存することもあります。残存したヘルニアは画像検査で重度のヘルニアとして見えても、炎症後であるため、症状はありません。
数か月以上痛みが持続している場合は、常に新しい髄核が漏れ続けていることを意味しています。痛みなどの症状が改善された場合は、髄核の漏れが止まった状態を意味します。
椎間板ヘルニアにならないための対策
腰に負担のかかる作業を避ける
腰部椎間板ヘルニアにならないためには、腰に負担のかかる作業を避けるのが重要です。例えば、中腰での作業、重い物を持つ作業などは腰部に負担が大きいです。仕事などでどうしても避けられない場合はコルセットをつけると良いです。
姿勢を正す
悪い姿勢、長時間の同じ姿勢でいるのも、腰に負担をかけます。姿勢を良くすることは一つの対策となります。
例えば、前かがみになる時は、背中を曲げるのではなく、膝を曲げて脚の付け根から倒すようにしましょう。
デスクワークなどで座ることが多い場合は、背中を丸めた猫背や、椅子の背にもたれかかり寝そべるようなもぐり込み、片方の脚を反対の脚に乗せた脚組みなどの姿勢をとらず、お尻を後ろに引くようにしてイスに座りましょう。膝を曲げて足が床につくように椅子の高さを調整して、またパソコンのモニターも目線の正面にくるように位置を調整しましょう。
長時間のデスクワークは定期的に立ち上がったり歩いたりして姿勢をリセットするのも大事です。
ストレッチ
腰回りや足の筋肉のトレーニングも有効な対策です。
ここで紹介するストレッチは痛みが出ない範囲で行いましょう。
〇両ひざを抱えるストレッチ
このストレッチを行うことで、腰を反りすぎない姿勢になり、また、背骨を支える筋肉や臀部の筋肉の伸びを良くすることができます。
1.仰向けになり、両手で両ひざを抱える。
2.息を吐きながら10秒間、抱えたひざを胸に近づける。
3.ひざを胸に近づける際には、なるべくお尻を床から離すようにしてください。
〇腰をひねるストレッチ
このストレッチは、腰回りの動きを改善し、腰を反る癖を直します。また、背骨を支える筋肉や下肢の筋肉などの伸びも良くします。
1.仰向けになり、軽く足を開く。
2.お尻は床につけたままで、右足を左側に倒す。
3.息を吐きながら、10秒間、姿勢を保持する。
4.左足も同様に倒してその姿勢を10秒間保持する。
〇太もものストレッチ
このストレッチを行うことで、腰回りの動きを良くし、腰を反る癖を直し、太もも裏やふくらはぎの筋肉の伸びを良くします。
1.仰向けになり、両ひざを立て、軽く開く。
2.両手でハンドタオルを持ち、右足の裏に通す。
3.仰向けのまま、タオルを通した足を、天井の方へ伸ばす。
4.息を吐きながら、10秒間、姿勢を保持する。
左も同様に行う。
〇太もも裏のストレッチ
このストレッチを行うことで、太もも裏の筋肉を伸ばし、腰椎に負担がかかりすぎることを防ぎます。
1.立った状態からしゃがんで、両手で両足首を握る。
2.胸と太ももの前をつけた状態のまま、両ひざを伸ばす。
3.息を吐きながら、10秒間、姿勢を保持する。
胸と太ももは離れないよう意識してください。ひざを伸ばしきるのが難しい場合は少し曲げた状態でも大丈夫です。
椎間板ヘルニアの根本的治療:セルゲル法
前述した対策は椎間板ヘルニアの悪化防止、再発防止に効果的ですが、既にヘルニアができてしまっている場合はいつかまた症状が出てしまう可能性があります。椎間板ヘルニアと診断されている場合は、椎間板の治療を検討するのをお勧めです。
当院は、損傷した椎間板を修復する治療、セルゲル法を行っております。
当院のセルゲル法では、椎間板のひび割れ部分を埋める薬剤を注射し、それがゲル状になってひび割れを補綴するため、根本的な治療となり得ます。
椎間板のボリュームが減少することがなく、治療後に薬剤がゲル状のインプラントとして椎間板に残りますので、椎間板が温存されることが特徴です。
椎間板ヘルニアと診断されて、腰痛などでお悩みのある方は、是非一度当院での診察を受けることをご検討ください。