背骨の中にある神経の通り道(=脊柱管)が狭くなった状態は、脊柱管狭窄症といいます。
椎間板の加齢変化によって狭くなることや、背骨のすべりや椎間板ヘルニアなどで脊柱管が圧迫されて狭窄症になります。早ければ16歳前後から腰の部分に最も負担がかかるため、椎間板が損傷し始めます。椎間板が損傷していくと、クッション機能が低下して、骨に負担がかかり、骨の変形が始まります。最終的に神経が存在する空間である脊柱管が狭くなり、神経が圧迫されます。
脊柱管狭窄症の治療としてはブロック注射によって対処されることもありますが、痛みやしびれなどの症状が強ければ強いほど外科的手術が検討されます。
今回は腰部脊柱管狭窄症の手術についてお話します。
脊柱管狭窄症の手術
腰部脊柱管狭窄症の手術は、腰椎椎弓切除術と脊椎固定術が一般的になっています。
腰椎椎弓切除術は、内視鏡を使用して行われ、全身麻酔にて、背部の皮膚を切開し、椎弓の一部や肥厚した黄色靭帯を切除することにより神経の圧迫を取り除き、脊柱管を広げます。
脊椎固定術は、単独でやることもあれば、腰椎椎弓切除術の後に行われる場合もあります。全身麻酔にて、背部の皮膚を切開し、変性した椎間板を取り除いて、腰骨から採取した骨を詰めたケージを入れて、脊椎を整形し、スクリューとロッドで椎骨を固定します。
手術までの準備
脊椎手術が決まったら、手術日までに患者は準備が必要です。多くの医療施設がお願いされるのは、禁煙、禁酒、減量です。
タバコは全身の血流を悪くするため、術後の傷の治りも悪くなり、感染リスクも増えると言われています。禁煙は早ければ早いほど良く、手術前1カ月以上が理想とされています。
飲酒は肝臓に負担をかけて、肝機能が悪いと感染症のリスクが高まり、術後の回復にも影響します。一般的には手術1週間くらい前から禁酒が依頼されています。
体重が多い場合は、手術の術野等が狭く手術が難しくなったり、術後の合併症などのリスクが高くなったりしますので、医療施設から手術前に減量を依頼される場合があります。
手術の時間
腰椎椎弓切除術の手術時間は1椎間につき1時間半程度です。
脊椎固定術の手術時間は、1時間で終わる場合もありますが、約2~3時間かかることもあります。
日常生活復帰までのリハビリ
脊椎手術の後は、入院期間があります。早ければ1週間で、場合によっては2週間の入院が必要です。手術箇所が多ければ多いほど、入院が長くなります。
手術翌日から、ベッドから起き上がる、座るという動きの確認から始まり、術後経過が良ければ歩行練習や日常的な動作などになります。
日常生活に戻るまでの期間が長く、術後の社会復帰に時間がかかります。
当院の治療
当院は、脊柱管狭窄症に対してセルゲル法を行っております。
脊柱管狭窄症は、椎間板がひび割れることで中心成分が飛び出し、その飛び出した部分が脊柱管を狭くすることで起こるものですので、椎間板のひび割れが修復できていなければ、再度ヘルニアが発生したり、再度脊柱管が狭くなったりしてしまう可能性があります。
当院のセルゲル法では、椎間板のひび割れ部分を埋める薬剤を注射し、それがゲル状になってひび割れを補綴するため、根本的な治療を行うことができます。椎間板のボリュームが減少することがなく、治療後に薬剤がゲル状のインプラントとして椎間板に残りますので、椎間板が温存されることが特徴です。
治療時間
セルゲル法の治療時間は、1椎間板につき20分程度です。
治療後1時間~1時間半は安静にして、治療当日に歩いて帰れますので、入院の必要がありません。
日常生活復帰までのリハビリ
治療後は腰に負担のかかる動作に気を付けながら軽動作は翌日から可能です。
スポーツや重労働は1ヶ月程度見合わせる必要があります。
脊柱管狭窄症と診断されてお悩みのある方、脊椎手術を避けたいという方は、是非一度当院での診察を受けることをご検討ください。