腰痛は誰でも経験することのある症状です。その原因は、椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症など、様々です。
アスリートたちも脊椎疾患に悩まされることがあります。
今回は脊柱管狭窄症に苦しんだアスリートを例にして、脊柱管狭窄症に関して解説します。
脊柱管狭窄症に苦しんだ元プロレスラーの天龍源一郎選手
日本のプロレス界において「生ける伝説」として一目置かれていた天龍源一郎選手。
幼少期から相撲やプロレスを見たり、13歳の頃に相撲部屋に入門して、1975年にプロレスに転向していました。その後はプロレス界の数多くのタイトルや大賞を獲得しています。
2011年に腰部脊柱管狭窄症の診断を受け、治療のために長期欠場になりました。2回の外科的手術、リハビリを受けて、1年後の2012年に復帰できました。
腰部脊柱管狭窄症の原因
腰部脊柱管狭窄症の原因は、骨、靭帯、椎間板の変性・変形です。
最近の研究では、脊柱管狭窄症やすべり症などを引き起こす原因は椎間板変性とされております。※1
※1 参照元:Dell R. Burkey. Regional Anesthesia and Pain Management. Saunders, 2009.
椎間板は損傷などにより本来の椎間板の形が保てなくなることで変性が始まり、椎間板の機能が低下し、腰痛などの症状が出現します。これは椎間板変性症といいます。
変性が進むと、線維輪の亀裂から髄核が外に飛び出していき、椎間板ヘルニアとなり、椎間板ヘルニアなどで脊柱管が圧迫され、脊柱管狭窄症となっていきます。
椎間板変性症が進めば進むほど、椎間板内の水分がなくなっていき、椎間板が薄くなり潰れた状態になります。このようになると、椎体同士が衝突しやすくなり、椎体そのものの変形が生じたりし、脊椎が不安定となり、ずれてしまうことがあります。
プロレスと脊柱管狭窄症の関係
プロレスラーは、スープレックス(投げ技)、またパワーボム(叩きつけ技)を受けることが多いです。受け身の場合は背骨に負担がかかってしまいます。
負担がかかればかかるほど、椎間板の変性、背骨の変形も進んでしまい、脊柱管狭窄症になりやすくなります。
当院の治療
当院は、脊柱管狭窄症に対してセルゲル法とフローレンス法を行っております。
脊柱管狭窄症は、椎間板がひび割れることで中心成分が飛び出し、その飛び出した部分が脊柱管を狭くすることで起こります。椎間板のひび割れは修復できていなければ、再度ヘルニアが発生したり、再度脊柱管が狭くなったりしてしまう可能性があります。
当院のセルゲル法では、椎間板のひび割れ部分を埋める薬剤を注射し、それがゲル状になってひび割れを補綴するため、根本的な治療を行うことができます。椎間板のボリュームが減少することがなく、治療後に薬剤がゲル状のインプラントとして椎間板に残りますので、椎間板が温存されることが特徴です。
フローレンス法は、脊柱管狭窄症に対して行える、リスクの少ない低侵襲治療です。
部分麻酔と鎮静下で経皮的にスペーサーを挿入して、狭くなった脊柱管を広げます。治療後は取り外しなども可能です。
Lobsterスペーサーを入れることで脊柱の回旋や屈曲を維持しながら、椎体の安定化を図り、脊柱管を広げて、椎間板の突出を抑えて黄色靭帯肥厚を軽減できます。狭くなっていた脊柱管が広がることにより、痛みが解消されます。
保存治療で改善せず、脊椎固定術等の全身麻酔で行われる外科的手術を避けたい患者様にお勧めしています。
腰痛でお悩みの方、されたことのある方は、是非一度当院での診察を受けることをご検討ください。