脊柱管狭窄症の症状と進行:早期発見の重要性
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背骨の中にある神経の通り道(=脊柱管)が狭くなった状態は、脊柱管狭窄症といいます。
今回は腰部脊柱管狭窄症の症状について解説します。
脊柱管狭窄症の症状
脊柱管狭窄症の主な症状は、腰痛、下肢の痛み・しびれです。
初期の症状
初期の段階では、腰痛のみが生じることが多いです。
脊柱管狭窄症の下肢の症状としては、腰部から臀部、太もも、ふくらはぎ、足まで痛みやしびれが広がり、長時間立ったり歩いたりすると悪化しやすくなるのです。
進行した症状
腰椎の脊柱管狭窄症の特徴的な症状には、間欠性跛行(歩くときは足に痛みやしびれを感じて歩けなくなり、少し休むと楽になりまた歩けるが、しばらくすると再び痛くなる状態)がありますが、これは狭窄症が進行した時に出てきます。

脊柱管狭窄症が進行すればするほど、歩ける時間が短くなります。
歩けなくなることにより、足の血行が悪化して足がむくんだりだるくなったり、筋力が著しく低下します。
重症の脊柱管狭窄症の場合は、膀胱や腸の機能にも影響が及び、排尿・排便障害が生じることもあります。
また、寝たきりの状態となったら、食欲不振になることも多く、栄養不足になり筋肉や骨の破壊が進行しやすくなります。
脊柱管狭窄症の早期診断が重要
腰部脊柱管狭窄症は高齢者に多く見られる疾患です。
間欠性跛行などの症状があると、歩行が難しくなり、日常生活に支障をきたしてしまいます。家を出ず、寝たきりになる方もおり、鬱状態になる方も少なくありません。
また、症状が進行すればするほど、背骨を削ったり金属で固定したりする全身麻酔で行われる外科的手術しか適応できなくなることもあります。
症状がひどくならないうちに、正確な診断と適切な治療を受けることがとても大事です。
脊柱管狭窄症の治療
外科的手術:腰椎椎弓切除術と脊椎固定術
腰部脊柱管狭窄症の治療としてはブロック注射によって対処される場合もありますが、多くの場合は外科的手術が行われます。
脊柱管狭窄症の手術は、腰椎椎弓切除術と脊椎固定術が一般的です。
腰椎椎弓切除術は全身麻酔にて、内視鏡を使用して行われ、背部の皮膚を切開し、椎弓の一部や肥厚した黄色靭帯を切除することにより神経の圧迫を取り除き、脊柱管を広げます。
脊椎固定術は全身麻酔にて、背部の皮膚を切開し、変性した椎間板を取り除いて、腰骨から採取した骨を詰めたケージを入れて、脊椎をスクリューとロッドで椎骨を固定します。腰椎椎弓切除術の後に行われる場合もあります。

低侵襲施術:フローレンス法・Qフローレンス法
脊柱管狭窄症に対してはフローレンス法・Qフローレンス法も行われています。
フローレンス法とQフローレンス法は、脊柱管狭窄症に対して行える、リスクの少ない低侵襲治療です。
部分麻酔と鎮静下で経皮的にデバイスを挿入して、狭くなった脊柱管を広げます。
デバイスを入れることで脊柱の回旋や屈曲を維持しながら、椎体の安定化を図り、脊柱管を広げて、椎間板の突出を抑えて黄色靭帯肥厚を軽減できます。狭くなっていた脊柱管が広がることにより、痛みが解消されます。

脊柱管狭窄症と診断され、腰痛や間欠性跛行でお悩みのある方は、一度当院での診察を受けることをご検討ください。