椎間板ヘルニアの痛みを和らげる方法:薬と自然療法
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椎間板ヘルニアは最も多い脊椎疾患です。腰椎椎間板ヘルニアが発症すると、腰の痛みに臀部の痛み、足の痛みやしびれなどの症状が出ます。
今回は椎間板ヘルニアの痛みをとれる方法に関して説明します。
椎間板ヘルニアとは
椎体と椎体の間には椎間板が存在しています。椎間板は中央にゼラチン状の髄核があり、髄核を取り囲むようにコラーゲンを豊富に含んだ線維輪があります。
線維輪に亀裂が生じ、髄核が外に飛び出した状態は、椎間板ヘルニアといいます。

椎間板ヘルニアの症状
腰部椎間板ヘルニアの主な症状は、腰痛に加えて、お尻や足の痛み・しびれです。痛みやしびれは下半身のどこにでも出る可能性がありますが、特にお尻から太ももの裏側の痛み、坐骨神経痛は、腰のヘルニアの代表的な症状です。
背骨が横に曲がり、動きにくくなり、重いものをもったりすると痛みが強くなることがあります。急に症状が出ることもあれば、徐々に現れることもあります。
神経が非常に強く押されている場合には尿や便が出にくい、漏れてしまうという症状が出ることもあります。
椎間板ヘルニアの痛み管理方法:薬物療法
痛みなどの症状を和らげる方法がいくつかある中、最も多く行われているのは薬物療法です。
腰痛に効く薬は、飲み薬、貼り薬(湿布)、塗り薬があります。
飲み薬
飲み薬には鎮痛剤、ビタミン剤、筋肉のこわばりを和らげる薬、漢方薬などがあり、症状に合わせて選べます。
薬によっては同じ成分の過剰摂取につながる恐れもあり、湿布・塗り薬など他の薬と併用できない薬もありますので、要注意です。
薬は、医師による診察結果で処方してもらい、医師の指示に従った内服が一番無難です。
貼り薬/湿布
湿布は患部に密着することで効果を発揮し、一度貼るだけで作用が続くことはメリットです。胃への負担があるなどの理由で飲み薬を服用できない方におすすめです。
塗り薬
塗り薬は、湿布に比べると蒸れることが少ないというメリットがあります。塗っていても目立たない、外出時でも使えることも特徴の一つです。
ただし、塗り薬は1日のうちに数回塗り直す必要があります。
椎間板ヘルニアの痛み管理方法:自然療法
生活習慣の改善
椎間板ヘルニアで痛みがある場合は、長時間の同じ姿勢(特に座りっぱなし)を避けるべきです。また、背筋を伸ばすなどして、腰に負担をかけない姿勢を意識すると良いです。
体重管理も大事です。体重が増えると、腰に負担がかかりやすいため、痛みが継続したり増したりするからです。
椎間板ヘルニアの痛みがある方は、硬めのマットレスや腰をサポートする枕の使用もおすすめです。
喫煙は椎間板の栄養供給を悪化させ、症状を悪化させる要因の一つです(*1)。禁煙はヘルニアの予防や治癒に重要な要素と言えます。
*1 参照元:Akmal M., et al. Effect of Nicotine on Spinal Disc Cells: A Cellular Mechanism for Disc Degeneration. Spine. 2004, 29(5).
マインドフルネス、ヨガ
マインドフルネスは、痛みを和らげるのに効果的だとわかっています。アメリカで行われた研究結果では、通常のケア(薬物療法など)で改善が見られたのが44%だったのに対して、マインドフルネスを取り入れた療法では61%の患者に痛みの改善が見られたといいます(*2)。
*2 参照元:Daniel C Cherkin, et al. Effects of Mindfulness-Based Stress Reduction vs Cognitive-Behavioral Therapy and Usual Care on Back Pain and Functional Limitations among Adults with Chronic Low Back Pain: A Randomized Clinical Trial. JAMA. 315(12), 2016.
瞑想やヨガをすることで、ストレスを軽減して、血流を良くし、神経の圧迫を軽減して、痛みを和らげることができます。ヨガの「猫のポーズ」「チャイルドポーズ」「膝抱えストレッチ」などがおすすめです。
ただし、ストレッチをする際は、無理に腰を反らせたりひねったりしないようにしましょう。また、痛みが増すような動きを避けましょう。
自然療法の注意点
自然療法は、軽度~中等度の椎間板ヘルニアの場合に痛みを和らげるために有効ですが、重度のヘルニアの場合や、痛みが強く長期間で続いたり、下肢のしびれや筋力低下があったり、排尿・排便の障害などがあったりする場合は、自然療法で改善が期待できません。
このような場合は、根本的な治療を早期に受けることをおすすめです。
椎間板ヘルニアの治療:セルゲル法
上記の対処法は椎間板ヘルニアの一時的な症状改善に効果的ですが、ヘルニアの原因である椎間板の損傷を治さなければ、いつかまた症状が出てしまいます。
当院は、損傷した椎間板を修復する治療、セルゲル法を行っております。
当院のセルゲル法では、椎間板のひび割れ部分を埋める薬剤を注射し、それがゲル状になってひび割れを補綴するため、根本的な治療を行うことができます。椎間板のボリュームが減少することがなく、治療後に薬剤がゲル状のインプラントとして椎間板に残りますので、椎間板が温存されることが特徴です。
椎間板ヘルニアと診断されて、腰痛などでお悩みのある方は、是非一度当院での診察を受けることをご検討ください。