「梅雨時になるとなぜか腰痛がひどくなる」「寒い季節になるとぎっくり腰になる」などと言う方は多くいます。
なぜ梅雨時期や寒い時期には腰痛が増してしまうのでしょうか。
梅雨時・寒い時に腰痛が出やすい理由
梅雨時や寒い時期に腰痛が出る理由としては、気圧や気温の変化、身体の冷えなどが挙げられます。
気圧の変化
医学の中では気象医学という分野があり、気圧の変化により痛みが増強すると明らかになっています。
気圧が低下すると、交感神経が緊張し、副腎髄質からアドレナリンの分泌が亢進されます。交感神経の興奮により、末梢血管が収縮し組織内の虚血、酸素濃度の低下,pH低下などが発生して、痛覚線維は局所の病的な変化に対して感受性が高まっており、疼痛が悪化するというメカニズムが解明されています。*1
*1 参照元: 佐藤 純「気象変化による慢性疼痛悪化のメ力ニズム」『ファルマシァ』Vol.41、No.3、2005年
気圧による痛みの変化には交感神経が関与しています。それに、疼痛増強が低気圧接近より早い時期から始まり、気圧が戻ってからも続くことがあります。
気温の変化
気温の変化も腰痛が出やすくなる原因の一つです。
梅雨時期には蒸し暑くなり気温も上昇しますが、室内や車内などは冷房で冷えています。外の暑さで汗で濡れた身体はエアコンの風にさらされることで、冷たい飲み物を飲んでしまうことで、芯から冷えてしまいます。
寒い時期は、室内等の暖房で温まった状態で、気温の下がっている外へ出ると、身体が冷えてしまいます。
体が冷えると、筋肉の緊張があがり、腰痛のリスクが高くなります。
梅雨時期・寒い時期の腰痛への対処法
梅雨時や寒い時に腰痛が悪化する理由としては気圧と気温の変化が挙げられますが、気圧をコントロールすることができませんね。
では、そのような時期となると、腰痛がひどくなるのは避けられないのでしょうか。
答えは「いいえ」です。
気圧・気温の変化に依存しない、つまり天候の影響を受けにくい体を作ることで、腰痛悪化を避けることができます。
身体を温める、身体を冷やさない
気圧が下がり、交感神経が優位になると、血管が収縮して血行不良となってしまいます。血流が悪くなると、痛みが出やすくなります。
そのため、身体を温めることが重要です。寝る前にお風呂などで体をしっかりと温めましょう。
体が温まる結果、副交感神経が優位になり、血流を促進でき、疼痛も緩和されます。
寒い時期のお風呂上りは、体を冷やさないように保温対策も忘れずやりましょう。
適度な運動・ストレッチをする
日々の適度な運動やストレッチも、痛みが出にくい身体づくりに役立ちます。
ウォーキングやサイクリングなどの有酸素運動は全身の血流を良くし、痛みが改善されやすくなります。
ただし、運動は痛みがある状態で行ってしまうと、逆に悪化させてしまう恐れがありますので、無理のない範囲で行いましょう。
また、ストレッチでも筋肉の血行を促進できます。
良質の睡眠をとる
良質の睡眠をとることも、腰痛への対処法となります。
腰痛に大きく影響しているのは寝返りという動作です。寝返りをうつことは体圧を分散させ、筋肉も動くことになり、筋肉を固まらせない役割をもちます。この寝返り動作ができるのはノンレム睡眠中、つまり深い眠りの時にだけです。
質の良い睡眠、つまりノンレム睡眠を増やすためには、前述したような適度運動も必要ですし、それにリラックスできる環境を整えること、寝る前にカフェインやアルコール、たばこを控えること、就寝前にはテレビ、パソコン、スマホをみないことなども重要です。
既に腰痛持ちの方は腰痛の根本的な治療も必要
気圧・気温の変化に依存しない体を作り、梅雨時期や寒い時期に腰痛悪化を避けられますが、既に腰痛持ちの方は、椎間板ヘルニアなど腰痛の原因となる疾患を治さなければ完治が難しいです。
当院は、損傷した椎間板を修復する治療、セルゲル法を行っております。
当院のセルゲル法では、椎間板のひび割れ部分を埋める薬剤を注射し、それがゲル状になってひび割れを補綴するため、根本的な治療を行うことができます。椎間板のボリュームが減少することがなく、治療後に薬剤がゲル状のインプラントとして椎間板に残りますので、椎間板が温存されることが特徴です。
腰痛でお悩みの方は、是非一度当院での診察を受けることをご検討ください。