椎間板ヘルニアで腰が痛いときはお風呂に入って症状が良くなるというイメージをもっている人も少なくありませんが、実際は腰を温めることで痛みが増強するため入浴を避けた方がいい場合もあります。
今回は椎間板ヘルニアの痛みがある時の入浴に関して解説いたします。
お風呂に入って良い場合と、お風呂を避けるべき場合
お風呂に入って良いか、お風呂を避けたほうが良いかを判断するためには、現在の症状の状態をみてみましょう。
腰痛が重だるいような鈍痛がある場合、筋肉疲労による腰痛の可能性が高く、入浴にて症状改善の可能性があります。
姿勢や動作によって鋭い痛みが生じる場合、関節や骨などの組織損傷が疑われます。また、部分的な組織損傷が疑われる場合、炎症症状によって部分的に熱をもつケースも少なくないです。痛みのある腰の周囲を手で触ってみて、熱をもっている場合は炎症が起こっている証拠です。その場合は、お風呂を含めてその周囲を温めるのは避けましょう。炎症による痛みがある場合は、温めることで症状が悪化してしまうことがあるからです。
入浴して良いかどうか判断が難しい場合
炎症があるかどうかわからない場合は、入浴しない方が無難です。
入浴後に症状がひどくなった場合もしばらくはお風呂を避けた方がいいでしょう。
椎間板ヘルニアの診断がまだなく、腰痛等の症状がある場合は、まずは医師の診断を受けた方が良いです。
急性の腰椎椎間板ヘルニア:お風呂を避けて、シャワーの方が良い
急性の椎間板ヘルニアの場合は入浴を避けて、シャワーだけにすることをおすすめです。
急性の腰椎椎間板ヘルニアはぎっくり腰ともいえます。
ぎっくり腰になり、腰だけでなく足に症状が現れますが、椎間板が脱出した直後ですので、周囲で炎症を起こしています。この場合は、湯船に浸ると症状が増悪してしまう恐れがありますので、シャワーで済ますことをおすすめします。
また、前屈姿勢になると、余計に椎間板が脱出してしまい症状が悪化します。頭や足を洗う時は、特に注意してください。
慢性の腰椎椎間板ヘルニア:湯船の方が良い
急性期が過ぎますと、痛みは慢性的なものに変わります。の腰椎椎間板ヘルニアになった後、
慢性になれば、シャワーではなく、湯船に浸かる方が効果的です。入浴で腰の血流が良くなり、坐骨神経痛も和らぐこともできます。
おすすめの入浴方法
入浴は、患部をしっかりと温めることで血行が改善し、痛みが早く軽減していきます。
おすすめの湯温や時間、体勢
患部を長時間温めたり熱い温度で温めたりすると、逆に炎症反応を生じさせかねますので、温度はぬるめで入浴時間もほどほどにしておきましょう。
一番良いのは、40度以下のぬるいお湯で、15~20分以内の入浴です。これ以上の温度や入浴時間は避けた方が良いでしょう。
みぞおちあたりまでをお湯につけ、体を後ろへそらしぎみにした姿勢が良いです。
汗が出たら、肩までサッと湯につかってからあがります。
空腹時の入浴は体力を消耗しますので、あまりおなかが減っていない時に入浴してください。
温泉での入浴、入浴剤の使用
温泉にはミネラルなどの効能成分が含まれており、温熱効果だけでなく様々な症状を改善してくれます。近くに温泉がある場合は、温泉を活用することで症状改善できます。
近くに温泉がない場合は、お家で入浴剤を使用しても良いです。近年は炭酸ガスや温泉ミネラル成分などの温熱効果を高める入浴剤が多くあり、これらを使用すると、低温度のお風呂でも体を温めて、入浴の効果を高めることができます。
湯船でストレッチをする
湯船の広さに余裕がある場合は、入浴しながらストレッチするのもおすすめです。身体が温かい状態でストレッチをすると、より効果的です。
ヒザを真っ直ぐ伸ばせる場合は、長座体前屈のようにストレッチしてみてください。太ももの後ろが伸ばされて、太ももの後ろの筋肉「ハムストリングス」が柔らかくなり、症状改善につながります。
入浴しながらマッサージをする
入浴しながら痛みのある部位を優しくマッサージすることで、症状を緩和できます。
ただし、痛みのある部位に強い刺激となるマッサージは腰痛悪化のリスクにもなるため要注意です。
入浴後は体が冷えないようにする
せっかく体を温めて、湯冷めをしてしまえば逆効果です。
お風呂上りで乾いたタオルで体の水分を十分に拭き取りましょう。
また、腰を冷やさないように保温対策も忘れずやりましょう。
入浴後にストレッチをする
入浴後、体が温まって血行が良くなります。その時にストレッチを行えば、より効果的です。
また、ストレッチで筋肉を柔らかくして、長期的な腰痛予防にも効果的です。
ストレッチは症状が出ない範囲で行いましょう。
入浴は症状改善に効果的ですが、椎間板ヘルニアの症状が治まっていても、ヘルニアの原因となる椎間板の損傷が治りません。根本的に椎間板ヘルニアを治したい場合は、症状改善だけでなく、原因である椎間板も治療する必要です。
当院は、損傷した椎間板を修復する治療、セルゲル法を行っております。
当院のセルゲル法では、椎間板のひび割れ部分を埋める薬剤を注射し、それがゲル状になってひび割れを補綴するため、根本的な治療を行うことができます。椎間板のボリュームが減少することがなく、治療後に薬剤がゲル状のインプラントとして椎間板に残りますので、椎間板が温存されることが特徴です。
腰痛でお悩みの方、椎間板ヘルニアと診断された方は、是非一度当院での診察を受けることをご検討ください。