どちらも腰痛が出現する、ぎっくり腰と椎間板ヘルニア。
これは同じ病気なのか、違う病気なのか、と気になる方も多いですね。
今回は、ぎっくり腰と腰部椎間板ヘルニアの違いに関して解説します。
ぎっくり腰と椎間板ヘルニア
ぎっくり腰は、急に起こった強い腰の痛みです。これは病名ではなく、「頭痛」や「坐骨神経痛」などと同様に症状を示している名称です。
椎間板ヘルニアは、椎間板という背骨の間にあるクッションが損傷して、中の髄核が椎間板外に漏れ出ることで神経が圧迫され、腰の痛みや下肢の痛み・しびれを起こします。
ぎっくり腰と椎間板ヘルニアの症状
ぎっくり腰も、椎間板ヘルニアも、腰痛が発生します。ただし、ぎっくり腰の場合は、基本的に数日から数週間で回復されることが多いですが、椎間板ヘルニアの場合は、数か月以上痛みが続くことがあります。
ぎっくり腰の症状
ぎっくり腰の症状は腰周辺の痛みだけになります。急に重い物を持ち上げた時、腰をねじる動作をした時、無理に前かがみの姿勢になったり背中を反らしたりした時などに発生します。
椎間板ヘルニアの症状
腰部椎間板ヘルニアの場合は、腰痛だけでなく、臀部から下肢にかけて痛みやしびれというような症状が出ることがあります。代表的な症状として、坐骨神経痛があります。
背骨が横に曲がり、動きにくくなり、重いものを持つと痛みが強くなることがあります。ぎっくり腰と同じように急に症状が出ることもあれば、徐々に現れることもあります。
ぎっくり腰と椎間板ヘルニアの原因
ぎっくり腰の原因
ぎっくり腰の原因は大きく分けて、①椎間板損傷、②椎間関節の障害、③筋肉の損傷があります。
椎間板の損傷が原因のぎっくり腰は椎間板ヘルニアと同じ原因となります。
椎間板ヘルニアの原因
椎間板ヘルニアの主な原因は、遺伝的要因や加齢、日常生活の負担による椎間板の老化です。本来、椎間板の中の髄核は水分で満たされていますが、加齢や日常生活での負担とともに椎間板の線維輪に亀裂が入ることで、髄核が線維輪から漏れ出し、水分がなくなっていきます。それで、椎間板が薄くなり潰れた状態になります。特に、日常生活で重たい物を持ち上げたり、激しいスポーツを行ったりするのが椎間板を痛める原因になります。
ぎっくり腰と椎間板ヘルニアの治療
ぎっくり腰の治療
ぎっくり腰となったら、まずは安静が必要です。横向きに寝て、腰を丸めた姿勢をとると楽になります。この時は無理に動くと、かえって症状を悪化させてしまいます。
自宅で安静している間は、湿布薬などで痛みを和らげるのが効果的です。ぎっくり腰は炎症を起こしている場合があり、消炎作用のある冷湿布で対応した方が良いです。
2~3日して痛みが落ち着いてきたら、無理のない程度、少しずつ動くようにしましょう。
また病院を受診し、検査を受けることも大事です。病院では原因を調べてもらい、再発防止に治療を受けることも大切です。
椎間板ヘルニアの治療
椎間板ヘルニアの治療は、保存療法と外科的手術に大別できます。
保存療法
椎間板ヘルニアと診断されたら、多くの場合はまず、保存療法(薬物療法、神経ブロック、運動療法)が行われます。炎症や痛みを抑える目的で、薬剤を服用して、痛みなどの症状を和らげたり、神経を麻痺させることで痛みをとったりして、また筋肉を鍛えることで症状を軽減させます。
保存療法は基本的に、初期の椎間板ヘルニアに効果的といえます。
数か月間保存療法を行っても症状が消失しない場合、外科的治療が検討されます。
外科的手術
椎間板ヘルニアの手術は医療機関によって異なっています。よく行われるのは、LOVE法、MED法、PELD法です。効果は基本的に一緒で、ヘルニア自体を摘出することで症状を軽減させることです。
外科的手術の場合は、全身麻酔または局所麻酔で、背中を切開して椎間板ヘルニア部分を摘出します。手術によっては期間が違いますが、入院が必要となります。
椎間板治療
ヘルニア部分を摘出する一般的な手術方法と違い、近年は損傷した椎間板にアプローチする椎間板治療(PODDなど)も行われています。外科的手術と違い、入院が必要なく、日帰りで治療を受けられます。
当院の治療
当院は、椎間板治療を行っています。
椎間板のクッション成分である髄核が少しずつ外に漏れていき、椎間板がだんだんと潰れていってしまいます。椎間板が潰れてしまうと様々な病気の原因となってしまいます。
当院のセルゲル法では、椎間板のひび割れ部分を埋める薬剤を注射し、それがゲル状になってひび割れを補綴するため、根本的な治療を行うことができます。椎間板のボリュームが減少することがなく、治療後に薬剤がゲル状のインプラントとして椎間板に残りますので、椎間板が温存されることが特徴です。
また、当院は「腰痛特化型リハビリ」も実施しており、全体的な治療の有効率を高めます。
ぎっくり腰や椎間板ヘルニアでお悩みのある方は、是非一度当院での診察を受けることをご検討ください。