腰椎椎間板ヘルニアが発症すると、腰の痛みに臀部の痛み、足の痛みやしびれなどの症状が出ており、日常生活に影響を及ぼします。そのようなことにならないように、日々様々なことに気を付けるべきです。
今回はおすすめのトレーニング方法についてご紹介します。
椎間板ヘルニアの発生と予防
椎間板ヘルニアはほとんどの場合、後方または後側方に飛び出します。
2005年にカナダでは椎間板ヘルニアの飛び出し方向を調査する実験が行われました。椎間板を曲げた方向と正反対の方へ髄核が移動することが明らかとなりました。*1
*1 参考:Crystal D Aultman 1, Joan Scannell, Stuart M McGill. The direction of progressive herniation in porcine spine motion segments is influenced by the orientation of the bending axis. Clinical Biomechanics, 20(2005).
このように、椎間板の突出方向には体の動かし方が関係していますので、普段の姿勢や体の動かし方を直していけばある程度椎間板ヘルニアの悪化や再発を予防できます。
椎間板ヘルニアに対するおすすめのトレーニング方法
腰回りを鍛えるトレーニングを行えていけば、腰椎を生理的な前傾姿勢に保つ(腰を反らしすぎない)ことができ、また腰回りや足の筋肉を柔軟にすることが可能になり、腰椎椎間板ヘルニアの悪化防止・再発防止が期待できます。
両ひざを抱えるストレッチ
このストレッチを行うことで、腰を反りすぎない姿勢になり、また、背骨を支える筋肉や臀部の筋肉の伸びを良くすることができます。
- 仰向けになり、両手で両ひざを抱える。
- 息を吐きながら10秒間、抱えたひざを胸に近づける。
ひざを胸に近づける際には、なるべくお尻を床から離すようにしてください。
腰をひねるストレッチ
このストレッチは、腰回りの動きを改善し、腰を反る癖を直します。また、背骨を支える筋肉や下肢の筋肉などの伸びも良くします。
- 仰向けになり、軽く足を開く。
- お尻は床につけたままで、右足を左側に倒す。
- 息を吐きながら、10秒間、姿勢を保持する。
- 左足も同様に倒してその姿勢を10秒間保持する。
太もものストレッチ
このストレッチを行うことで、腰回りの動きを良くし、腰を反る癖を直し、太もも裏やふくらはぎの筋肉の伸びを良くします。
- 仰向けになり、両ひざを立て、軽く開く。
- 両手でハンドタオルを持ち、右足の裏に通す。
- 仰向けのまま、タオルを通した足を、天井の方へ伸ばす。
- 息を吐きながら、10秒間、姿勢を保持する。
- 左も同様に行う。
両ひざ曲げのストレッチ
このストレッチは、腰椎を伸ばし、お腹・太もも前の筋肉も伸ばすに効果的です。
- うつ伏せになり、両ひじをついて上体を起こす。
- 息を吐きながら、両ひざを曲げて上に向け、10秒間姿勢を保持する。
首を後ろに傾けると、腰が反りすぎるようになりますので、首を後ろに傾けず床に目を向けてください。
太もも裏のストレッチ
このストレッチを行うことで、太もも裏の筋肉を伸ばし、腰椎に負担がかかりすぎることを防ぎます。
- 立った状態からしゃがんで、両手で両足首を握る。
- 胸と太ももの前をつけた状態のまま、両ひざを伸ばす。
- 息を吐きながら、10秒間、姿勢を保持する。
胸と太ももは離れないよう意識してください。ひざを伸ばしきるのが難しい場合は少し曲げた状態でも大丈夫です。
トレーニングを行う際の注意事項
全てのストレッチは、痛みが出ない範囲で行ってください。
最初は1~2回やることから始めて、徐々に回数を増やしていくと良いです。
トレーニングを長期的に続けていくことが大事ですので、無理のない範囲で行うようにしてください。
ストレッチを行ってはいけない場合
運動の後に、痛みやしびれなどの症状を感じるようになったら、トレーニングを行わないようにして、医師に相談するようにしましょう。
既に椎間板ヘルニアの症状が発生している場合は、トレーニングを行うと、症状が悪化してしまうことがあります。既に椎間板ヘルニアと診断されている場合はどのような運動を行ってよいか、前もって医師と相談した方が無難です。
当院の治療
トレーニングは椎間板ヘルニアの予防に有効的ですが、既に椎間板ヘルニアと診断されている場合は原因である椎間板の損傷を治療する必要です。
当院は、損傷した椎間板を修復する治療、セルゲル法を行っております。
当院のセルゲル法では、椎間板のひび割れ部分を埋める薬剤を注射し、それがゲル状になってひび割れを補綴するため、根本的な治療を行うことができます。椎間板のボリュームが減少することがなく、治療後に薬剤がゲル状のインプラントとして椎間板に残りますので、椎間板が温存されることが特徴です。
また、当院は「腰痛特化型リハビリ」も実施しており、様々な腰痛、幅広い年齢層の腰痛に対応できます。
腰痛でお悩みの方、椎間板ヘルニアと診断された方は、是非一度当院での診察を受けることをご検討ください。