治療症例紹介・コラム

Colum もう二度と繰り返したくない・・・脊柱管狭窄症の再手術の際の注意点

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脊柱管狭窄症とは、脊髄が通る脊柱管が狭くなることにより、神経が圧迫される状態です。

中高年以上で発症することが多く、住民の10%程度に診断されるのです。*1

脊柱管狭窄症は腰痛だけでなく、下肢の痛みとしびれの症状、間欠性跛行(歩いていると臀部や足に痛みが発生して、休むと楽となるが、また歩くと再び痛くなる)もあり、日常生活に支障が出てしまいます。

*1 参照元: 橋爪 洋、吉村 典子、山田 宏、吉田 宗人「脊椎加齢変性疾患の疫学指標ならびに運動機能との関連—The Wakayama Spine Study」『体力科学』2016年65巻1号

脊柱管狭窄症に対する外科的手術

腰部脊柱管狭窄症の治療としてはブロック注射によって対処される場合もありますが、多くの場合は外科的手術が行われます。

脊柱管狭窄症の手術は、腰椎椎弓切除術と脊椎固定術が一般的です。

腰椎椎弓切除術は全身麻酔にて、内視鏡を使用して行われ、背部の皮膚を切開し、椎弓の一部や肥厚した黄色靭帯を切除することにより神経の圧迫を取り除き、脊柱管を広げます。

脊椎固定術は全身麻酔にて、背部の皮膚を切開し、変性した椎間板を取り除いて、腰骨から採取した骨を詰めたケージを入れて、脊椎をスクリューとロッドで椎骨を固定します。腰椎椎弓切除術の後に行われる場合もあります。

脊柱管狭窄症の再手術とその注意点

再手術のリスク

脊柱管狭窄症に対して一度手術をしたら、その後に脊柱管が再び狭くなり、症状が再発することも少なくありません。その場合は高い割合(10%~23%)で再手術が必要とされます。*2

初回手術直後に無理な動きをすると、再手術のリスクが高まります。

*2 参照元:Atlas SJ, et al. Long-term outcomes of surgical and nonsurgical management of lumbar spine stenosis: 8 to 10 year results from the maine lumbar spine study. Spine, 2005, 30(8). Kim CH, et al. Reoperation rate after surgery for lumbar spinal stenosis without spondylolisthesis: a nationwide cohort study. Spine Journal, 2013, vol.13-10.

再手術は固定術になることが多い

脊柱管狭窄症に対して一度外科的手術が行われたら、術後は不安定性が生じることが多いです。また、初回手術の後は椎間関節が変性することもあり、すべり症になることもあります。その場合の再手術は固定術となります。

再手術の時間

脊柱管狭窄症に対して再手術となった場合は、初回手術(1~2時間程度)よりも時間がかかってしまいます。それは神経周囲の癒着などがあるからです。

合併症のリスクがさらに高い

再手術は、初回手術と同様に、全身麻酔で行われます。前述の通り、再手術の時間が初回手術より長いため、体への負担とリスクがさらに高まってしまいます。

呼吸器系や心機能の低下、動脈硬化に伴う末梢血管障害、糖尿病などの病歴がある場合は、再手術に伴う合併症のリスクも高まり、場合によっては再手術が不可になるケースもあります。

当院の治療

当院は、脊柱管狭窄症に対してフローレンス法とセルゲル法を行っております。

フローレンス法は、脊柱管狭窄症に対して行える、リスクの少ない低侵襲治療です。

部分麻酔と鎮静下で経皮的にスペーサーを挿入して、狭くなった脊柱管を広げます。治療後は取り外しなども可能です。

Lobsterスペーサーを入れることで脊柱の回旋や屈曲を維持しながら、椎体の安定化を図り、脊柱管を広げて、椎間板の突出を抑えて黄色靭帯肥厚を軽減できます。狭くなっていた脊柱管が広がることにより、痛みが解消されます。

保存治療で改善せず、脊椎固定術等の全身麻酔で行われる外科的手術を避けたい患者様にお勧めしています。

脊柱管狭窄症は、椎間板がひび割れることで中心成分が飛び出し、その飛び出した部分が脊柱管を狭くすることで起こります。椎間板のひび割れは修復できていなければ、再度ヘルニアが発生したり、再度脊柱管が狭くなったりしてしまう可能性があります。

当院のセルゲル法では、椎間板のひび割れ部分を埋める薬剤を注射し、それがゲル状になってひび割れを補綴するため、根本的な治療を行うことができます。椎間板のボリュームが減少することがなく、治療後に薬剤がゲル状のインプラントとして椎間板に残りますので、椎間板が温存されることが特徴です。

また、当院は「腰痛特化型リハビリ」も実施しており、様々な腰痛、幅広い年齢層の腰痛に対応できます。

脊柱管狭窄症でお悩みのある方は、是非一度当院での診察を受けることをご検討ください。

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